寿命に関わる因子とその変遷の分析で、非常に面白い。乳幼児死亡率の低下が平均寿命の向上に寄与する事はよく知られているが、それ以外の長寿理由は、医学の進歩によるものだと漠然と考えていたが、当然それだけではない。栄養、衛生、戦争、感染症、ワクチン、経済、薬学、文化制度。例えば、都市の公衆衛生状態はひどく、
...続きを読む農村よりも死亡率が高かった。感染症も、瘴気説が広く信じられていて接触による伝染、ウイルスなども認知されていなかった。
単に寿命が延びても、やりたい事をして、人生が謳歌できるかは別問題だ。健康でなければ闘病に苦しむ時間が延びるだけ。お金が無ければ最低限の事もできず、友人や家族がなければ孤独。趣味だって必要だ。寿命が延びたのは結果論だが、有意義な時間を生きられるかは分からない。タイトルの「延びすぎた」という書き方は、その生を持て余したようなネガティブな表現でもある。
アメリカでは、自殺やオピオイドのオーバードーズで2014年頃に平均寿命が下がったらしい。長く生きていたい、と今は思うが、安楽死を望みたいと思う時も来るのだろうか。余命を充実させられるか、まさに健康第一で備えるべきだと再認識。