作品一覧
ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
ちょっとハスに構え飄々と、でも隠しきれない愛を覗かせながら都市を描く文体は、どこか懐かしく、文体も文化だなぁと感じさせる。1984年刊なので、書かれている内容は今は変貌を遂げたかつての香港の姿。筆者は香港が変わっていくことをもちろん予感しているが、その想像ともまた違った現代の香港への思いを、「文庫本のためのあとがき」の〆で「リンゴ日報廃刊の日に」と凝縮している。印象的だったのは「香港人の素顔」の花嫁の家・新聞少年と、「香港トワイライト」の深圳・九龍城・南Y島。「潮がひくように数百万の人間がいなくなったとき、いまわれわれが香港と呼んでいるあたりは、ふたたび華南の長い自然の海岸線のなかに溶けこんで
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Posted by ブクログ
自宅に眠っていた積読本の1冊。
覚えてる。女の子がしているリボンの巻き方が可愛くて、ジャケ買いしたやつだ。
本書(河出文庫版)のためにカバー絵と、更に巻頭にあるエッセイ漫画を担当されたのは香港生まれのアーティスト 門小雷(ムン・シウロイ)氏。現在「リトル・サンダー」のアーティスト名で広く活躍されている。
人物に風景・配色と柔和でありながら、同時に現地の活気も伝わってくる独特の雰囲気。そんな彼女の制作テーマは、「香港の記憶といまを生きるわたし」との事。
自分は今の香港を知らない。
返還直後の香港を訪れたことはあるが、よく知らないで周っていた。
返還前の香港となると、ますます未知の時代である