安いにそれなりの理由があった。品質がウーンというレベルだったり、味が今ひとつということがある。
しかし医薬品が「ワケアリ」だと大変だ。身体に入れるものだけに製造する側や認可する側が注意してもらいたいと思うが、生産拠点が外国となるとそうも行かなくなる。
今回の本では、ジェネリック医薬品
...続きを読むという正規の医薬品よりも安い価格で買えることで話題になっていたが、消費者が口にするにはリスクのある状況だった。「まさかという名の坂」があったとは。
著者のキャサリン・イーバンは、調査ジャーナリストで偽造医薬品、銃の違法取引、CIAによる強制的な尋問を取り上げた記事で数多くの賞を獲得している。
アメリカ食品医薬局(FDA)のコンサルタントで、海外の製造工場で長い時間を過ごしたことのある人に聞いたところ次のようなことを述べた。企業文化、さらには国の文化によって薬の製造品質に影響が出る。
忖度が求められる文化かそれとも違う意見が出ることを歓迎するかによる。
例えば中国は都合の悪い情報を出さない。著者が中国で情報提供者に会おうとしたとき、政府から尾行されて、携帯電話を盗聴された。
ここにも「チャイナリスク」があったか。
中国に派遣されるFDAの査察官のほとんどが中国語を話すことができず製造記録も読めなかった。通訳も自前ではなく、企業の営業担当者だった。
これでは正確な調査などできるわけがない。
ジェネリック医薬品に関して闇の部分があるとは知らなかった。易いだけで飛びつくと大変だな。
「規制とは追いつ追われつビジネスなのです」と、アメリカ薬局方協会のグローバルヘルス・インパクトプログラムの元副委員長パトリック・ルクレイ博士が述べている。
脱税や麻薬の取締りと同じく、無くなりそうにないなあ。