作品一覧

  • ヒロシマ・ボーイ

    ヒロシマ・ボーイ

    小説・文芸

    5.0
    1巻1,034円 (税込)
    日系米国人作家によるエドガー賞候補作!  米国で生まれ広島で育ち、戦後帰米した日系二世、元庭師の老人マス・アライ。マスと同じく原爆体験を持つ帰米二世の親友・ハルオが亡くなり、広島の沖合にある小島に暮らす遺族に遺灰を届けるため、マスは50年ぶりに日本を訪れた。そこで彼は、少年が犠牲になる痛ましい事件に遭遇する。小さな島を訪れた異邦人でしかないマスだが、広島で経験した少年期の傷痕を思い出し、14歳で命を落とした少年のために謎を追う。  日系米国人作家が父親をモデルに、15年間にわたって描き続けた「庭師マス・アライ」シリーズ第7作。このシリーズ最終作では、父親の故郷・広島の現代の情景を鮮やかに活写し、さらに複雑なアイデンティティを持つ主人公の頑固爺の内面を見事に描いて2019年エドガー賞最優秀賞(ペーパーバック・オリジナル部門)最終候補作となった。日本のメディアでも話題となった傑作ミステリが、満を持して登場。 (底本 2021年8月発行作品)
  • クラーク・アンド・ディヴィジョン

    クラーク・アンド・ディヴィジョン

    小説・文芸

    4.3
    1巻1,331円 (税込)
    日系米国人作家による話題の歴史ミステリー!  1944年、シカゴ。父母とともにカリフォルニア州の強制収容所を出てシカゴに着いた日系二世のアキ・イトウは、一足先に収容所を出てシカゴで新生活を始めていた姉ローズが前日にクラーク・アンド・ディヴィジョン駅で列車に轢かれて死んだと知らされる。警察の自殺説に疑問を感じたアキは、真相を求めて自ら調査を始めるが…。  2021年NYTベストミステリー選出、2022年メアリー・ヒギンズ・クラーク賞受賞、同年マキャヴィティ賞最優秀歴史ミステリー小説賞受賞。  戦時中の日系人たちの境遇にスポットを当て知られざる歴史を掘り起こした、日系米国人の著者渾身の歴史ミステリー、待望の新シリーズ第1弾。 (底本 2024年6月発売作品)

ユーザーレビュー

  • クラーク・アンド・ディヴィジョン

    Posted by ブクログ

    シカゴ日系人の歴史を調べるうち薦められた本書。2024年に邦訳版が出版され手に取った。鮮烈に描かれる戦中の日系人の生活、彼らの翻弄された人生に引き込まれた。取材協力されたエリック・マツナガ氏の記事や地図(ディスカバー・ニッケイWEBサイト内)を見れば、本書の舞台が更によくわかる。

    2021年NYTベストミステリー選出、2022年メアリー・ヒギンズ・クラーク賞受賞、同年マキャヴィティ賞最優秀歴史ミステリー小説賞受賞。

    0
    2026年05月25日
  • ヒロシマ・ボーイ

    Posted by ブクログ

    2つの意味で面白い作品だった。
    まずは設定がなかなか斬新!主人公は80代後半の偏屈でネガティブ思考な日系人男性。しぶしぶ向かった自分のルーツがある広島で、はからずも事件に巻き込まれる。文字通り老体にむちうちながら、走り回ったり若者に痛めつけられたりコンビニ食ばっかり食べているし、で、基本的に心の中は「用事済ましてとっととアメリカ帰りて〜」。
    それから、翻訳が巧みであった。翻訳っぽさがない。翻訳っぽさを楽しむのが翻訳作品の楽しみである場合もあるれど、広島の田舎の島で起きた物語を語にはそれは不要だと思う。登場人物たちが方言を話し老人ホームの描写なんか本当にリアルなので、翻訳作品であることをすっかり忘れてすらすら読んでいると、日系人の目線からの描写がちょいちょい飛び出してきて翻訳小説だったことを思い出す。新鮮な体験であった。

    0
    2022年05月29日
  • ヒロシマ・ボーイ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    大変よくできた推理小説。おすすめ。
    ユタの山あいの高齢者施設で何十年ぶりの古風な日本語で高校生の交換留学生の私を歓迎してくれたおばあさんを思い出しながら読んだ。日本人であることの多様性に触れた最初の機会はあれだったのかもしれない。

    0
    2022年01月16日
  • クラーク・アンド・ディヴィジョン

    Posted by ブクログ

    1944年、シカゴ。父母とともにカリフォルニア州の強制収容所を出てシカゴに着いた日系二世のアキ・イトウは、一足先に収容所を出てシカゴで新生活を始めていた姉ローズが前日にクラーク・アンド・ディヴィジョン駅で列車に轢かれて死んだと知らされる。警察の自殺説に疑問を感じたアキは、真相を求めて自ら調査を始めるが。

    スネークスキン三味線―庭師マス・アライ事件簿では、ややコミカルな印象が強かったが、本編はシリアス。前者の著者表記がカタカナだったので、同一著者とは気づかなかった。太平洋戦争により、アメリカにいながら、ニセイ、イッセイとして差別を受けた移民たちの苦しみがこれでもかとばかり描かれる。

     何事にもはっきり物を言い、負けることをよしとしなかった姉が、事もあろうに列車に轢かれる。自分から飛び込んだということで自殺で終わらせようとする警察に対して、納得できない妹が調査を続けるうちに、自身の恋とも出会っていく。先日NHKで放送されていたドキュメンタリーで、移民が兵士として日本人と戦うために、危険な戦地に追いやられる姿を見たばかりだ。移民の国と銘打っていながらも、いざとなれば敵視し、囲い込む、或いは排除するアメリカの嫌な面を見た思いである。

     2021年NYTベストミステリー選出、2022年メアリー・ヒギンズ・クラーク賞受賞、同年マキャヴィティ賞最優秀歴史ミステリー小説賞受賞。

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    2025年12月31日
  • クラーク・アンド・ディヴィジョン

    Posted by ブクログ

    舞台の歴史的背景は真珠湾攻撃から2カ月後の1942年2月19日、ルーズヴェルト大統領の大統領令により日本人の血が16分の1以上入っている日系アメリカ人約12万人(うち3分の2は生まれながらの米国民)が強制的に西海岸から収容所に移住させられた戦時下である。国家反逆罪やスパイ活動から守るという名目だったが、ホワイトハウスの「事実調査」部門の主任エージェントのカーティス B. マンソンにより、「反米活動が広まる危険があることを示す証拠は見つからず日系アメリカ人の忠誠心を証明する大量の資料が提出されていた。」にもかかわらず大統領令は発令された。同じ敵国のドイツやイタリア移民には調査も強制収容は適用されなかった為、明らかな人種差別と偏見に基く措置だった。
    主人公のアキ・イトウ一家はこれによりシエラネバダ山脈の麓のマンザナー戦争収容所(Manzanar War Relocation Center)に入れられる。翌年9月収容所からの移動を許可された姉のローズはシカゴに向かう。その後残された家族もローズに合流すべく収容所を出る。シカゴに到着すると、家族はローズがクラーク・アンド・ディビジョン駅に入ってきた地下鉄に轢かれて亡くなった事を知らされる。物語はここから事故も自殺も信じないアキによる真相の究明への執念と、故郷のカリフォルニアを離れた土地で生き抜く家族の苦労が詳細に描かれる。戦時中の日本人移民の置かれた境遇の史実と、アキのロマンスとローズの死の真相を探るミステリーを組み合わせた興味尽きない一冊でした。
    「母は故郷のことを思い出すたびにクロウということばを口にした。英語にすると“苦難”——suffering になるのだろうけれど、sufferingという ことばは、なんだか表面をさっとひとすくいしただけに聞こえる。クロウは、もっと奥深くまでえぐられた状態をあらわすことばだ。 咽喉の奥から絞り出されるうめき声や骨の髄まで 貫くほどの痛みまでをもあらわす。」
    kurou, which could be translated to “suffering.” But the English word seemed to skim the surface, whereas kurou went deeper. It referred to a guttural moaning, a piercing pain throughout your bones.

    0
    2025年01月26日

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