作品一覧

  • 失われたいくつかの物の目録
    3.8
    1巻3,190円 (税込)
    解体された東ドイツの宮殿、絶滅種のトラ、太平洋に沈んだ島、老いたグレタ・ガルボ……自然や芸術作品が雄弁に語り始める。テキストと、ダークな線画(カラーデバイスでの閲覧推奨)が織りなす夢の目録。第七回日本翻訳大賞受賞。
  • あいだのわたしたち
    3.0
    1巻2,200円 (税込)
    難民滞在施設をでて,親友の家に引っ越したマディーナたち.ようやくこの国で「ふつう」の生活を始めたが,パパは音信不通で,ママはうつ.夢は医者になること,でも家族の面倒を見るので精一杯.そして周りに外国人に厳しい目を向ける人たちが増えて…….力強く語られる,難民一家のリアルな日常.『あいだのわたし』続編.

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  • あいだのわたし
    3.8
    1巻2,200円 (税込)
    「みんな手紙を待ってる.難民として認定する,って書かれた手紙.」十五歳のマディーナは,命がけで家族とこの国に逃げてきた.学校に通い,友情や恋に悩み,新しい生活になじもうとするマディーナ.留まれるのか,送り返されるのか.あいだで揺れ闘う少女が日記帳にぶつける,怒りと葛藤とあこがれの日々.装画=蓮池もも

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ユーザーレビュー

  • あいだのわたし

    Posted by ブクログ

    現代版アンネの日記と言おうか。ドイツの避難民収容所で、認定を待つマディーナとその家族の話。架空の人物ということで、どの国の紛争から逃げてきたのか、彼女とその家族を縛る伝統や宗教がどの国のものなのか定かではないが、どの国にも当てはまりそうであり、いろいろな難民に思いをはせながら読んだ。

    内戦にあったらしい国内の対立はもちろんひどい。でも命からがら逃げてきた先での、伝統だの男のプライドだのに縛られた家族内、施設内での対立、収容所の職員の酷さ、対応する当局の対応の冷たさに、どうして人は平和に生きられないのかと腑が煮え繰り返る。地球の一部が自分のものであって、生まれた場所が違ったからって入る権利がな

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    2025年06月08日
  • 失われたいくつかの物の目録

    Posted by ブクログ

    目録となっているが、12篇の短篇集のようでもある。
    今はない物への偏愛、憧憬と幻視による物へのオマージュ。論文調だったり、小説のようだったり、日記のようなものまであって一つ一つが面白い。
    カスピトラがローマの見世物になったりフリードリヒのグライスヴァルト港の絵がリク川の源泉を辿る旅仕立てになったりして想像の行くところがいい。
    そして何より本としての佇まい、章ごとの仕切りの美しさ、ため息が出ました。

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    2023年03月17日
  • あいだのわたし

    Posted by ブクログ

    10代がえらぶ海外文学大賞という小冊子から選んだこの本。最近重い話題の本は避けていたので、久しぶりにズシンときた。生まれてきた国が違ったら、時代が違ったら私にも起こったかもしれない。今の時代にも戦争している国はなくならず、難民生活している人も多い。そんな事実を知ってはいても、その人たちがどんな生活を送っているのかはなかなか想像し難くて、ほんの一部だけでも垣間見ることができる、そんなお話し。

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    2025年11月16日
  • あいだのわたし

    Posted by ブクログ

    どこからとは特定されていない国から難民としてドイツに逃げてきたマディーナの一家。今は難民認定が降りるかどうかを待ちながら劣悪な収容所で暮らしている。叔母も含めた一家5人でひと部屋を分け合う生活は、狭苦しくて気が変になりそうなほどだけれど、少なくとも生命の危険はない。
    マディーナは高校に通ってドイツ語をおぼえ、両親のための通訳までつとめるようになったが、大人は収容所から出ることもできず、ただ停滞したまま無為に生きるしかない。そんななかで父親は、故国の女性蔑視、家父長制の価値観をそのまま持ちつづけ、日々、新たな世界に適応していく娘との距離が広がっていく。

    価値観が更新されない親と、新世界に生きる

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    2025年06月11日
  • 失われたいくつかの物の目録

    Posted by ブクログ

    『ユリイカ』のハン・ガンのインタビューで「今読んでいる本」として挙げられていたもの。章ごとに差しこまれる黒い表紙には、光の加減でその章のテーマとなる「失われた物」のビジュアルが浮かび上がる。「失われた物」と続く物語の関連性が自分には上手く見出せずしたがい物語に入っていけず、眠くなることもしばしば。しかし「グライフスヴァルト港」の章は…… 良かった…… あの章だけ何度も読み返したいくらい。植物や野鳥に精通した目があれば、「自然豊か」のひと言で片付けられそうな光景も、あれほど精緻で優しい描きかたができるのだ。

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    2025年01月25日

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