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  • 海馬を求めて潜水を――作家と神経心理学者姉妹の記憶をめぐる冒険

    海馬を求めて潜水を――作家と神経心理学者姉妹の記憶をめぐる冒険

    ビジネス・実用

    4.5
    1巻3,740円 (税込)
    探究心旺盛なノルウェー人姉妹がコンビを組んで、記憶の不思議をめぐる旅へ。海馬はいつ見つかった? 記憶と思い出す場所の関係は? 記憶力をよくする方法とは? なぜ人は忘れるの? 未来を想像するのにも記憶力は必要?――ときに記憶研究の歴史を紐解き、ときに記憶に問題を抱える人たち(テロの生存者、海馬を損傷した人など)を訪ね、ときに記憶のスペシャリストたち(研究者、タクシー運転手、チェスのグランドマスター、舞台女優、オペラ歌手、記憶力チャンピオン、未来予測家など)の門を叩く。生きることと記憶のよき関係を探る、人生の処方箋になること請け合いの一冊。ヒルデ:私はもっと忘れたいわ。つまり、人生における否定的な経験を。そんなの永遠に消えてくれたらいいのに。忘却は過少評価されている。イルヴァ:悲しい思い出だって真珠のネックレスの一粒なのだから、忘れることが必ずしもよいことだとは言えないわ。それでも私は、日常生活の忘却については異議を唱えたかったの。いつでもどんなことでも記憶しておこうという試みはやめるべきよね。

ユーザーレビュー

  • 海馬を求めて潜水を――作家と神経心理学者姉妹の記憶をめぐる冒険

    Posted by ブクログ

    海馬(≒記憶)を主題とする本書は、専門的で難解な内容を扱いながらも、意外なほど平易で、むしろ物語を辿るかのような読書体験をもたらす。
    「大切なことを覚えておくために、不要と判断したものは忘れていく」や「幸せな記憶は、誰もが持つ抗うつ剤ではないか」といった印象的な一節が随所に散見され、記憶に関する本質的な洞察を静かに提示している。
    本書を通じて、記憶や物忘れという現象を、従来とは異なる視座から捉え直す契機を得ることができた。

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    2025年08月13日
  • 海馬を求めて潜水を――作家と神経心理学者姉妹の記憶をめぐる冒険

    Posted by ブクログ

    人間に宿るタツノオトシゴ…脳にある海馬を、つまり記憶のしくみについて書かれた本。
    タイトルと表紙の雰囲気に惹かれて手に取った。
    神経科学や認知心理学など、科学の本でありながら歴史、文学、心理学、建築学、神話学、生物学、環境問題などいろいろな分野の話題を組み合わせながら、情緒的でユーモラスでもある。
    そんな本書はノルウェー人の作家&神経心理学者の姉妹によって書かれている。姉妹同士であることの屈託のなさから、時には喧嘩をしつつも、好奇心旺盛な彼女らはとことん記憶について突き詰め書いたとのこと。とても愛着の湧く本だ。
    姉妹は様々な記憶に、海馬に関する過去の事例や先行研究を紹介しながら、自身らでも実験の再現をしたり、それらを鑑みた上で、どんなことでも記憶しておこうという試みはやめるべき。と記憶の衰えに日々憂える私たちに寄り添うように語りかけてくれる。

    第1章 海の魔物――海馬の発見
    第2章 二月にタツノオトシゴ(海馬)を求めて潜水を――記憶は脳のどこに定着するか
    第3章 スカイダイバーが最後に考えること
    ――個人的な記憶とは
    第4章 カッコウのひな
    ――虚偽記憶はいつ(正常な)記憶の中に忍びこむか
    第5章 大掛かりなタクシー実験とかなり奇妙なチェス対決――記憶力をよくする方法
    第6章 忘却は思い出の真珠を作る――なぜ人は忘れるのか
    第7章 脳内のタイムマシン
    ――過去を思い出すことも未来を想像することも

    どの章も面白かった。
    記憶の捏造は誰でも簡単にしてしまいがちであることがとてもよくわかった。
    とりわけ目から鱗が落ちたのは第7章だった。
    記憶は過去にも未来にも双方に働くというのは、薄々生活の中で分かっていたはずなのに、このようにわかりやすく科学的に説明されるとハッとしてしまったのだ。
    過去の記憶があるからこそ未来を想像できる。
    未来が想像できるからこそ、文学が生まれたのだ。
    また、うつ病などを患うと未来の想像があやふやになり難しくなる。孤立を深めても未来の想像があやふやになる。生き詰まりそうになる。
    そんな時は「物語」に触れるのが良いのだそうだ。
    物語に、他者の人生に多く触れることで、生き詰まっていたところに、「今」以外の未来を見ることができる。
    そうか…だから私はこんなにも物語を欲しているのか。とものすごく腑に落ちた。物語に触れるのは私にとって、とても大事なことだ。

    具体的に未来をシミュレーションすることで、さまざまなシナリオの細部が明確になりどれを選ぶか判断しやすくなるという未来思考を「エピソード先見(⇔エピソード記憶)」と、トーマス・ズデンドルフ氏は呼んでいるらしく、とても興味深かったので書き留めた。
    またノルウェーでの事例・研究やノルウェーで活躍する人物などもたくさん知ることができるのでそこもいい。

    本書ではたくさん先行研究を調べていて、それでもまだ未知数な部分の多い記憶。人間の脳のしくみ。
    もっともっと知りたいと思った。
    そして何度でも本書を読み込みたいと思った。
    もちろん、多くの人に読まれてほしいとも。 

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    2022年06月23日
  • 海馬を求めて潜水を――作家と神経心理学者姉妹の記憶をめぐる冒険

    Posted by ブクログ

    海馬から始めて記憶への考察実験が始まる。お決まりのラットに電流を流すものからMRIや不幸なきっかけで海馬を除去したヘンリーの記録、ダイバーによる記憶やイルヴァ自身による100日間の実験など実に多方面から記憶を見つめる。そして未来との関係、鬱との関連など興味は尽きない。
    忘れることにも意味があり、忘れてもいいんだよということにほっとした。

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    2021年10月07日
  • 海馬を求めて潜水を――作家と神経心理学者姉妹の記憶をめぐる冒険

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    人の脳に棲むタツノオトシゴ——海馬。作家のヒルダと心理学者のイルヴァ姉妹は、地理と記憶の関係性や、他人の記憶を捏造することは可能かどうかなどを過去の研究に基づいて自らも実験し、記憶を司る器官の謎を探っていく。また、警察官、タクシー運転手、チェスプレイヤー、俳優、テロ被害者でもあるテロ研究者など、幅広い人びとへのインタビューを通じて「人の生にとって記憶とは何か」という問いに軽やかな答えを提案してくれる、記憶と忘却にまつわるノンフィクション。


    面白かった!オリヴァー・サックスに近い読みごこちだが、サックスが脳神経科医として患者の脳に接しているのに対して、こちらは作家と心理学者のコンビなので固い定義に拠らない、柔らかい意味での〈精神〉や〈心〉に触れるような書き方。この距離感がとても読みやすかった。「私たち」という一人称複数も心地よい。
    面白かったエピソードは、まず脳の機能不全でエピソード記憶がない人が一定数いるということ。意味記憶はあるので日常生活を送るには支障ないが、他人が幼少期の記憶をありありと語るのを聞いて「作り話だ」と思っていたという。なにせ他人の頭のなかの話なのでわからないが、こういう人はそれなりにいるんだろうな。個人的にはエピソード記憶がないとどんな夢を見るのか気になる。見ないのかな。
    PTSDのような心的後遺症を残さないためには、激しいショックを受けた直後にテトリスをすると記憶が定着するのを防げる、という実験の話も面白かった。実践向きじゃないと言われてたけど、たぶんみんな好きな芸能人のスキャンダルにショックを受けたあと、自然とスマホゲームして記憶定着を防いでたりするよねきっと。ノルウェーのウトヤ島で起きたテロ事件の被害者へのインタビューによって浮き彫りになる目撃証言のみを頼ることの危うさや、かつて脅迫めいた取り調べを行なっていた警察官へのインタビューも印象深かった。
    人はなぜ過去を記憶するのだろう。本書の著者、オストビー姉妹によれば、それは未来を想像するためだ。〈未来思考〉と〈過去の記憶〉は分かち難く結ばれている。

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    2021年07月21日
  • 海馬を求めて潜水を――作家と神経心理学者姉妹の記憶をめぐる冒険

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    海馬を求めて潜水を
    ――作家と神経心理学者姉妹の記憶をめぐる冒険

    脳科学の本から海馬が記憶と関係していることは知っていましたが、海馬に着目して書かれた本書では、長期記憶や短期記憶、意味記憶やエピソード記憶などに関して知ることができますし、記憶の書き換えによる冤罪を防ぐために海外では目撃証言は決定的な証拠にならなくなってきていることなどを知りました。
    また、記憶は長期記憶を定着させる機能を持っていますが、記憶は脳内の様々な部分に蓄積されることも理解できました。
    ロンドンのタクシー運転手は海馬の一部が他の人より大きくなっているという調査結果なども初めて知りました。
    残念なのは、物語的な部分と科学的な解説の部分の一貫性が取れておらず、理解しづらいところがあったところです。
    最近短期記憶がとみに怪しくなってきた竹蔵は、記憶のトレーニングをそろそろ始めないといけないと思わせる、記憶に関して多くを知ることができた本でした。

    竹蔵

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    2026年09月22日

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