歴史は必ずしも事実が定説になるとは限らない。中世ヨーロッパもそうだ。
見ていくといろいろな思い込みで事実と虚構が入り混じっている。今回の本ではその点について知ることができる。
コロナウイルスが発生してから今まで、どこかで一度は見聞きしたことあるのは、ペスト医師のマスクだ。
...続きを読むまるで鳥のくちばしに見えるマスクをした医師で、ペストが流行したヨーロッパの状況を表すとされてきた。
ところが、ペストの流行は中世の間ずっとではなく、はじめと終わりの時期だった。しかも、ペスト医師の偽物ではない図像が現れるのは、17世紀以降になる。
あの姿は絵になるので、人々の話題に上がるから今までも中世のペスト流行の象徴になってしまう。
人々の好奇心をかきたてるといえば、魔女だ。中世の人々は魔女を信じて、火あぶりの刑にしたと長年言われてきた。
しかし、15世紀以前に魔術を使ったとして処刑された女性は1人だった。現代人が抱く魔女に対する扱いは、16世紀から17世紀になってからのことだった。
今まで言われてきた歴史と実際にあった歴史の違いを知るのは興味深い。1+1=2と単純に割り切ることができないのか歴史だ。人間の営みで出来ているのだから。