小川紗良の作品一覧

「小川紗良」の「海辺の金魚」ほか、ユーザーレビューをお届けします!

作品一覧

  • 海辺の金魚
    4.0
    1巻1,650円 (税込)
    児童養護施設で暮らす花は、夏を迎えて18歳になった。翌春には施設を出るきまりだが、将来への夢や希望が何ひとつない。花が8歳のとき、母親が無差別殺人の罪で逮捕・勾留されて以来、彼女の心には何物も入り込む余地がなくなっていたのだった。ある日、ボロボロのぬいぐるみを抱えた女の子・晴海が施設にやってくる。必死になってぬいぐるみを抱きしめている晴美の姿に、花はかつての自分を重ね合わせていた……。

ユーザーレビュー

  • 海辺の金魚

    Posted by ブクログ

    切ない連作短編だが、表題作のラストに息が詰まった。
    淡水魚である金魚を海へ放流するが、そのことへの解釈が難しい。
    希望を漂わせた絶対的なバッドエンドを感じるが、後に続く作品を読むと必ずしもそうとは思えない。
    主人公が金魚について知らないとも考え難いのでゾッとした。
    海とは広い世界の象徴だろうか……金魚は母親なのかもしれない。

    0
    2025年09月06日
  • 海辺の金魚

    Posted by ブクログ

    特別養子縁組、また親と暮らせない子供たちの集まって住む家。
    読み進めていくうちに主人公の花がまっすぐに育ってよかったと思えた。タカ兄が言っていた家族って日々を重ねていくしかないっていう言葉がまさに。です。
    生みの親より育ての親とも思うし、家族を振り返ったときに日々の積み重ねから家族ってできていくのかなと本当に思う。
    いい言葉です。読めてよかった。

    0
    2023年03月30日
  • 海辺の金魚

    Posted by ブクログ

    美しい小説体験だった。
    一つひとつ選ばれた言葉はやさしく、丁寧に紡がれて、脆くも繊細で温かかった。
    児童養護施設での1年で主人公や他の子供たち、そして大人たちも揉まれ、絶望しながら、一歩一歩進んでいく。確かな答えが出せなくても、それでもいい。静かな希望を感じた作品だった。

    0
    2022年12月23日
  • 海辺の金魚

    Posted by ブクログ

    児童養護施設の子どもたちの話。
    花は、願いが届きもしないと知っていながら、ずっと母親への恋慕と、母からの愛情というものを欲していた。十年間、ずっと。
    それはまるで、外の世界を知っていながら、綺麗に管理された水槽の中でぐるぐると回るしかない金魚のように。

    花以外の彼らも、ある程度ものごとがわかるように成長したとき、それでもその小さな体で、なぜ血の繋がった家族と一緒に暮らせないのか、真実を知る。いたいけに、受け止めようとする。
    そしてそれでも、本心では「母親」を求めている。自分のことだけを見てくれる「本当の家族」を。

    突如施設で暮らすこととなった晴海。
    強気なみっちゃん。
    ぴかぴかなものと空想

    0
    2021年09月04日
  • 海辺の金魚

    Posted by ブクログ

    児童養護施設を舞台にした小説。
    主人公の花は、今年で18歳になり、高校卒業後には施設を出なくてはならない。自分の将来に対する不安や、施設で暮らさなければならなかったこれまでの人生に対する複雑な想いが、施設の子ども達やタカ兄との触れ合を通じて描かれている。

    児童養護施設で暮らす子ども達は様々な事情を抱えている。いわゆる普通の家庭で育った私には、彼、彼女達のことはわからないんだと思う。何というか…わかったつもりになっているだけで、本当にはわかってない。
    血の繋がった家族でも現実には理想郷のようなものではない。それでも、"家族"というのは、彼等が渇望して止まないものだ。

    彼等

    0
    2021年08月11日

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