小川紗良のレビュー一覧

  • 海辺の金魚

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    切ない連作短編だが、表題作のラストに息が詰まった。
    淡水魚である金魚を海へ放流するが、そのことへの解釈が難しい。
    希望を漂わせた絶対的なバッドエンドを感じるが、後に続く作品を読むと必ずしもそうとは思えない。
    主人公が金魚について知らないとも考え難いのでゾッとした。
    海とは広い世界の象徴だろうか……金魚は母親なのかもしれない。

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    2025年09月06日
  • 海辺の金魚

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    特別養子縁組、また親と暮らせない子供たちの集まって住む家。
    読み進めていくうちに主人公の花がまっすぐに育ってよかったと思えた。タカ兄が言っていた家族って日々を重ねていくしかないっていう言葉がまさに。です。
    生みの親より育ての親とも思うし、家族を振り返ったときに日々の積み重ねから家族ってできていくのかなと本当に思う。
    いい言葉です。読めてよかった。

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    2023年03月30日
  • 海辺の金魚

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    美しい小説体験だった。
    一つひとつ選ばれた言葉はやさしく、丁寧に紡がれて、脆くも繊細で温かかった。
    児童養護施設での1年で主人公や他の子供たち、そして大人たちも揉まれ、絶望しながら、一歩一歩進んでいく。確かな答えが出せなくても、それでもいい。静かな希望を感じた作品だった。

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    2022年12月23日
  • 海辺の金魚

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    児童養護施設の子どもたちの話。
    花は、願いが届きもしないと知っていながら、ずっと母親への恋慕と、母からの愛情というものを欲していた。十年間、ずっと。
    それはまるで、外の世界を知っていながら、綺麗に管理された水槽の中でぐるぐると回るしかない金魚のように。

    花以外の彼らも、ある程度ものごとがわかるように成長したとき、それでもその小さな体で、なぜ血の繋がった家族と一緒に暮らせないのか、真実を知る。いたいけに、受け止めようとする。
    そしてそれでも、本心では「母親」を求めている。自分のことだけを見てくれる「本当の家族」を。

    突如施設で暮らすこととなった晴海。
    強気なみっちゃん。
    ぴかぴかなものと空想

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    2021年09月04日
  • 海辺の金魚

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    児童養護施設を舞台にした小説。
    主人公の花は、今年で18歳になり、高校卒業後には施設を出なくてはならない。自分の将来に対する不安や、施設で暮らさなければならなかったこれまでの人生に対する複雑な想いが、施設の子ども達やタカ兄との触れ合を通じて描かれている。

    児童養護施設で暮らす子ども達は様々な事情を抱えている。いわゆる普通の家庭で育った私には、彼、彼女達のことはわからないんだと思う。何というか…わかったつもりになっているだけで、本当にはわかってない。
    血の繋がった家族でも現実には理想郷のようなものではない。それでも、"家族"というのは、彼等が渇望して止まないものだ。

    彼等

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    2021年08月11日
  • 海辺の金魚

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    ネタバレ

     児童養護施設で暮らす花は、夏を迎えて18歳になった。翌春には施設を出るきまりだが、将来のことや遠く離れた母親のことで葛藤を抱えている。

    ――― (引用) ―――
     家族とは、そんなに素晴らしいものだろうか。いつか読んだ本に、家族とは「自分から決して逃げない人」のことだと書いてあった。一度逃げられてしまった私たちは、この先その「家族」というものを、一体どう信じれば良いというのだろう。
    ――― (引用おわり) ―――


     そんなある日、ぬいぐるみを抱えた女の子・晴海が施設にやってくる。複雑な事情を抱えながらも日々を懸命に歩む晴海の姿に、花はかつての自分を重ね合わせていることを知る。

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    2024年04月09日
  • 海辺の金魚

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    時には呪縛にもなり得る家族と言う言葉。それでもやっぱり子供達にとっては、その家族は何にも変えられない大切な場所で。とは言え、親からの愛情を十分に受けられずとも、可哀想ではなかった。施設の仲間との衝突や葛藤の中で、人として大切な物を大事に育んでいる。希望に満ちた物語。

    日々を重ねて、生きていこう。

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    2023年11月29日
  • 海辺の金魚

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    児童養護施設に暮らす主人公が18歳になり、様々な事情で親と暮らせない子供たちとの関わりや成長を通して、目標を見つけ新たな生活に向かう。幸せになって欲しいなぁ、という余韻を残して終わる連作短編。1話目は児童虐待や無差別殺人など重い感じでしたが2話目以降は「みにくいアヒルの子」、「マッチ売りの少女」、「親指姫」など簡単な童話がモチーフにされて、考えさせられながらも成長が感じられる話でした。

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    2022年10月02日
  • 海辺の金魚

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    小川糸さんの並びにあって間違えて借りた本。笑
    小川紗良さんって全然知らなかったけど、俳優や監督もやっているとか。

    意図していなかったのだけど、親と暮らせない子どもの話をまた読んでしまった。
    主人公の花が、淡々と状況を受け入れ、でも割と前向きに家の人たちと関わって暮らしているから、そんなに悲壮感は感じない。胸が痛くなるようなエピソードは、いくつも散りばめられているのだけど。
    迷いつつも前向きに生きていけそうな花の未来に、希望を感じる終わり方。

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    2024年01月25日
  • 海辺の金魚

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    映画監督の著者の撮影した映画をノベライズにしたものということ。児童養護施設が舞台。18歳、児童養護施設を出る日が近づく主人公とそこで暮らすこどもたちの物語。

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    2022年04月26日
  • 海辺の金魚

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    ネタバレ

    女優・映画監督として活躍中の小川紗良氏の2021年6月公開の初の長編映画監督作品を、自ら小説化した作品。映像を文字にしているので、背景も丁寧に描こうとしている。児童養護施設で暮らす花は、18歳になった。翌春には施設を出るきまり。花の母の事件からある事件を想起してしまったし、一生懸命生きている知人を思い出した。花は名もない「金魚」をの奇跡を信じて、願いを込め「金魚」を海に流す。
    「世界の丸さに乗って、いつか優しさとなって返ってくる日を信じて待とう。私はその日まで、どんな荒波が押し寄せても、恐ろしい強風が吹いても、「おかえり」と言えるようにこの世界で生きていよう。」
    施設にくる子どもたちはいろんな

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    2021年09月27日
  • 海辺の金魚

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    事情を抱えている子供が暮らす星の子の家。
    親が病気になってしまった子、経済的な問題で家庭で暮らせなくなった子、身体や精神に深い傷を負った子。
    花のお母さんが夏祭りで起こした事件は衝撃的だった。
    小さい子を守りたいという願いをサンタさんは叶えてくれるといいなと思った。

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    2021年08月20日
  • 海辺の金魚

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    小川紗良さん。俳優で、監督で、本書は同タイトルの長編初監督作のノベライズ(初小説)だそうだ。うーん、才能のある人は本当になにをやっても……。まあ、凡才のおっさんの嫉妬混じりのコメントはともかくとして(^^;)。
    児童養護施設「星の子の家」で暮らす18歳の少女・花を主人公とした4作の連作短篇集だ。同じ境遇の子供たちと花の関係や、花の母親の過去など、重くなりがちな内容を不必要に暗くせずに描いていて好感がもてた。
    残念ながら映画は観逃してしまったが、機会があればぜひ観てみたい。

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    2021年08月14日