2014年に朝日新聞に入社した若手記者が約3年にわたって取材を続け、税金の無駄遣いを洗い出す。
構造的な問題が山積する中央官庁だけでなく、消防団や農業といった地域コミュニティの現場にも足を踏み入れ、取材の視野が広い。
取り上げられている主な無駄遣いの概要は以下のとおり。
①コロナ禍をきっかけに一般社
...続きを読む団法人を通した「中抜き」予算執行が増えている。一般社団法人に委託された事業はそこから先の再委託先までは会計検査院の目が届かない。
②東京オリンピック・バラリンビック競技大会組織委員会が大手広告代理店などに委託した会場運営費の「人件費単価」は一人当たり1日最高35万円と破格な額だった。それがブラックボックス化されていた。
③コロナ禍における雇用調整助成金や持続化給付金、ゼロゼロ融資などで不正やモラルハザードが問題になっている。地方の自治体に配った「地方創生臨時交付金」も使途に疑問符がつくものが多い。
④消防団員に支給される報酬や中山間地域等直接支払制度の一部が個人に行き渡らず搾取されている場合がある。デジタル化で手続きが見えるようにすべき。
⑤各省庁が保有する基金の数は2020年度末時点で1906に達する。この中には使われぬまま放置されものもあり、政策目的を果たせずに滞留する税金の根源になっている。単年度主義に基づく一般会計予算と異なり複数年度にわたって柔軟に資金を拠出できるが、チェック機能が働きにくい。