作品一覧

  • 痩せ姫 生きづらさの果てに
    4.5
    女性が「細さ」にこだわる本当の理由とは? 人類の進化のスピードより、ずっと速く進んでしまう 時代に命がけで追いすがる「未来のイヴ」たちの記憶 ――――中野信子(脳科学者・医学博士)推薦 痩せることがすべて、そんな生き方もあっていい。 居場所なき少数派のためのサンクチュアリがここにある。 健康至上主義的現代の奇書にして、 食と性が大混乱をきたした新たな時代のバイブル。 摂食障害。この病気はときに「緩慢なる自殺」だともいわれます。 それはたしかに、ひとつの傾向を言い当てているでしょう。 食事を制限したり、排出したりして、どんどん痩せていく、 あるいは、痩せすぎで居続けようとする場合はもとより、 たとえ痩せていなくても、 嘔吐や下剤への依存がひどい場合などは、 自ら死に近づこうとしているように見えてもおかしくはありません。 しかし、こんな見方もできます。 痩せ姫は「死なない」ために、病んでいるのではないかと。 今すぐにでも死んでしまいたいほど、 つらい状況のなかで、なんとか生き延びるために 「痩せること」を選んでいる、というところもあると思うのです。 (「まえがき」より) ダイエットやストレスが高じて摂食障害になってしまった女性たち。 摂食障害に苦しむ女性の「生」を著者は30年余り見つめてきました。 彼女たちの「生きづらさの正体」とは何か? また「それでも細さにこだわる理由」とは何か? 現代の女性たちが「細さ」にこだわりつつ、 欲望を空回りさせていってしまう根源的な理由を著者は見極めようとしてきました。 痩せ姫たちが集うブログのなかで、 摂食障害の女性に「生」を優先しがちな処方箋しか示しえない現代の医療や文明観に対しても 著者は鋭く疑義を呈しつづけています。 生命尊重だけではない、人それぞれがもつ守るべきもの、 あるいは生きるに値するものとは何かを 著者は「痩せ姫」たちとの交流をとおして30年余り考え続けてきた、その軌跡が本書です。

ユーザーレビュー

  • 痩せ姫 生きづらさの果てに

    Posted by ブクログ

     表紙の少女は大人びた顔をして、冷静にこちらに目を向けている。今時珍しい線の細かさだ。

     痩せ姫とは摂食障害により、過度に痩せすぎた女性とことを呼ぶ名前。何という切ない名前だろうか。
     彼女らは躰をコントロールする。
     生理が止まろうとも、生命の危険があろうとも。けれど、彼女らはそうでもしなければ生き続けられないという際に立っている。

     私には摂食障害はあるものの、食べ過ぎ程度で済むことで、過食というレベルではない(たぶん)。痩せ姫たちの物語を読むと、体に対する意識が高い。私は体への感覚が鈍い。だから、太ることができる。
     心と体が密接に結びつきすぎると、心がつらい、体という実態で解決した

    0
    2016年12月02日
  • 痩せ姫 生きづらさの果てに

    Posted by ブクログ

    痩せ姫の「痩せ」に対する思いは単純にダイエットしたいとかいうものではない。様々な生きづらさを緩和するための手段なのだ。健康が脅かされているということを一旦切り離して考えると、痩せは痩せ姫にとっての自己実現であり、それに対して周りがとやかく言うべきものではない。
    作者の「痩せによって生きづらさが緩和されるなら、拒食も生き方の一つとして認めたっていいじゃない」というスタンスは、痩せ姫たちの孤独感を救うと思うし、摂食障害に限らず多様性を認める上で大切な考え方だと思う。

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    2017年05月12日
  • 痩せ姫 生きづらさの果てに

    Posted by ブクログ

    摂食障害、主に拒食症に焦点を絞っている。拒食症はただの行き過ぎたダイエットでは無い。世間からの理解も低い。「痩せ姫」と呼ばれる病的なまでに痩せた彼女たちはいつも枯渇しているのだ。身体も餓え、愛情に飢え、その上、存在意義に餓えた「痩せ姫」。ただでさえ低体重で負担を抱えた身体で、さらに痩せては「誇り」「安心感」「生きている心地」を得ようとする彼女たち。鏡に映る「骨と皮」の自分が「太った物体」にしか見えない「痩せ姫」。その「痩せ姫」の身体を抱きしめて、「どうか生きて」と伝えたくなる。

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    2017年01月06日
  • 痩せ姫 生きづらさの果てに

    Posted by ブクログ

    摂食障害の女性を「痩せ姫」と呼び、尊敬の念を抱きながら彼女たちのことが紹介されています。

    命の危険があることを指摘しつつも、そうしなければ生き延びることができなかった苦しさにも心を寄せている文章で、静謐な雰囲気を感じました。

    生き方としての「痩せ姫」。
    合わせて、命の危険と隣り合わせで生きているアスリートたちのエピソードも心に残りました。
    意識を向けなければ気付かないだけで、私のすぐ隣にも痩せ姫がいるかもしれない、と思えた一冊でした。

    0
    2016年12月15日

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