大晦日の夜、1月から12月までのそれぞれの月をつかさどる神様が一堂に集まる、というスラブの伝説をもとにした物語だそうで。
ストーリーはシンプルなんだけど、とってもわくわくさせてくれます。
4月にしか咲かないマツユキソウを真冬にほしがる女王。
国中におふれを出し、マツユキソウをもってきたものにはかご
...続きを読むいっぱいの金貨を与えるといいます。
それに目がくらんだ老婆とその娘が、主人公の継娘(ままむすめ)を無理やり森へ追い立てる。
ままむすめが凍えそうになっていたとき、ふしぎな12人の兄弟に出会い・・・。
雪が降り積もった森の描写が、もう鼻の奥がツンとしてくるくらい寒そうで、そのぶん、「シューバ」(外套)がいかにもあたたかそうで。
銀ぎつねの裏のシューバ、なんていうひびきもステキです。
12か月の神様たちの姿も、想像するとたのしいし、彼らの歌も詩的で美しい。
舞台は真冬の森ですが、春、夏、秋の森の営みもそれぞれいきいき描かれていて、森のめぐみがとてもゆたかなものであることが伝わってきます。
それらは女王の宝物よりもずっと価値のあるもの。
つまり人間の世界の最高権力者の女王でも、自然の一部にすぎない、っていうテーマ、こう言っちゃうとなんだか説教くさいんだけど、真冬のスーパーにトマトやキュウリが並んでる今の世の中、あらためてこういう自然からのめぐみ、っていう当たり前のことを意識するのも大事じゃん、と思いました。
これに「森は生きている」って題名をつけた訳者の方の仕事、すばらしいっす。