作品一覧

  • 水と礫
    4.0
    1巻1,540円 (税込)
    東京でのドブ浚いの仕事中の事故をきっかけに故郷へと戻ったクザーノは、砂漠のむこうの幻の町へ旅立った――回帰する灼熱の旅が、一族の風景を映し出す。第57回文藝賞受賞の一大叙事詩。
  • その午後、巨匠たちは、
    3.0
    1巻1,760円 (税込)
    北斎、レンブラント、モネ、ダリ、ターナー、フリードリヒ、そして歳を取らない女・サイトウ。彼らは、救世主か? 破壊者か? 円城塔、歓喜! 驚愕の注釈小説の誕生。文藝賞受賞第一作。

ユーザーレビュー

  • 水と礫

    Posted by ブクログ

    まず1ページ目の一行目から惹かれた。しかしその惹かれた文体は最初の方だけで、後はずっと平易な文が続く。それでもしっかりと強固な文体を確立しているように感じ、とても新人のようには思えない。文体は海外小説を翻訳したような文体で自分好みでもあった。
    ガルシアマルケスに影響を受けているんだろうなって一瞬でわかるストーリーと家族の話。
    それでも所々に謎を謎のままに残す文学性を兼ね備えており、作者のセンスに最後まで引き込まれた。

    0
    2025年07月11日
  • 水と礫

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    東京で失敗して故郷の町に戻ってきたクザーノがらくだのカサンドルとともに砂漠へと旅立ったのは、「東京から運んできた悲しい水分を全部蒸発させる」ためだった。やがてたどり着いた町で新たな暮らしを始めるクザーノを中心に、ホヨー、ラモン、クザーノ、コイーバ、ロメオ(すべて葉巻の銘柄)の5代にわたる父と子の系譜。日本であり日本でないふしぎな世界で彼らが生き見た景色が、差異と反復の語りによって何度も塗りなおされていく。マジックリアリズムのゲーム的な焼き直しのようにも読めて評価が割れそうだけど、個人的には楽しく読めた。

    【メモ】
    ・読み始めてしばらく、クザーノはニコラウス・クザーヌスにちなんでいるのかなと想

    0
    2021年07月10日
  • 水と礫

    Posted by ブクログ

    ストーリーは複雑ではないものの、同じ出来事が違う視点で何度も繰り返される展開が複雑で作者の意図を十分に理解出来なかった。日本と何か他の国(砂漠のある国)とを繋ぐ出発点も意図が理解できないままだった。

    0
    2022年07月24日
  • 水と礫

    Posted by ブクログ

    不思議な本。ファンタジーか。夢か。何度も同じようなシュチュエーションの舞台を観にいっているのか。少しずつ認識にずれがあって、語り部により違うところから話を聞いているかのような。繰り返される砂漠を旅する男。何がどうなるのか。謎を知りたくて読み進めてラビリンスじゃないか?と疑ったりする。人は風景の共有だけじゃなく魂も共有するのだと語る。なかなか嫌いじゃない時間だった。

    0
    2021年05月19日
  • 水と礫

    Posted by ブクログ

    まるで、繰り返されながら拡大するゾエトロープが如く、アンダンテのリズムで振られていたはずのメトロノームがやがて振れ幅を拡大していく。
    その速度を落とすことなく、未来に過去に振り動く。振り動かされながら、歩かされて行く。
    初めて『水と礫』を読んだ感想はそうだった。

    これは礫砂漠のごとく様々な技巧と躓きを散りばめられたページを、彼らの歩みと共にめくって行く。
    この一冊丸ごとがそのまま「旅」。
    物語を追う旅ではなく、存在を追う「旅」だ。
    そのラストに緩やかに込み上げてくる感情の揺れは、心地よく味わうことができた。
    しかし流石「文藝賞」作品。
    もしあなたが、彼らと共に一筋縄ではいかない「旅」を体験し

    0
    2021年05月05日

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