藤原無雨のレビュー一覧

  • 水と礫

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    まず1ページ目の一行目から惹かれた。しかしその惹かれた文体は最初の方だけで、後はずっと平易な文が続く。それでもしっかりと強固な文体を確立しているように感じ、とても新人のようには思えない。文体は海外小説を翻訳したような文体で自分好みでもあった。
    ガルシアマルケスに影響を受けているんだろうなって一瞬でわかるストーリーと家族の話。
    それでも所々に謎を謎のままに残す文学性を兼ね備えており、作者のセンスに最後まで引き込まれた。

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    2025年07月11日
  • 水と礫

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    ネタバレ

    東京で失敗して故郷の町に戻ってきたクザーノがらくだのカサンドルとともに砂漠へと旅立ったのは、「東京から運んできた悲しい水分を全部蒸発させる」ためだった。やがてたどり着いた町で新たな暮らしを始めるクザーノを中心に、ホヨー、ラモン、クザーノ、コイーバ、ロメオ(すべて葉巻の銘柄)の5代にわたる父と子の系譜。日本であり日本でないふしぎな世界で彼らが生き見た景色が、差異と反復の語りによって何度も塗りなおされていく。マジックリアリズムのゲーム的な焼き直しのようにも読めて評価が割れそうだけど、個人的には楽しく読めた。

    【メモ】
    ・読み始めてしばらく、クザーノはニコラウス・クザーヌスにちなんでいるのかなと想

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    2021年07月10日
  • 水と礫

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    ストーリーは複雑ではないものの、同じ出来事が違う視点で何度も繰り返される展開が複雑で作者の意図を十分に理解出来なかった。日本と何か他の国(砂漠のある国)とを繋ぐ出発点も意図が理解できないままだった。

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    2022年07月24日
  • 水と礫

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    不思議な本。ファンタジーか。夢か。何度も同じようなシュチュエーションの舞台を観にいっているのか。少しずつ認識にずれがあって、語り部により違うところから話を聞いているかのような。繰り返される砂漠を旅する男。何がどうなるのか。謎を知りたくて読み進めてラビリンスじゃないか?と疑ったりする。人は風景の共有だけじゃなく魂も共有するのだと語る。なかなか嫌いじゃない時間だった。

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    2021年05月19日
  • 水と礫

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    まるで、繰り返されながら拡大するゾエトロープが如く、アンダンテのリズムで振られていたはずのメトロノームがやがて振れ幅を拡大していく。
    その速度を落とすことなく、未来に過去に振り動く。振り動かされながら、歩かされて行く。
    初めて『水と礫』を読んだ感想はそうだった。

    これは礫砂漠のごとく様々な技巧と躓きを散りばめられたページを、彼らの歩みと共にめくって行く。
    この一冊丸ごとがそのまま「旅」。
    物語を追う旅ではなく、存在を追う「旅」だ。
    そのラストに緩やかに込み上げてくる感情の揺れは、心地よく味わうことができた。
    しかし流石「文藝賞」作品。
    もしあなたが、彼らと共に一筋縄ではいかない「旅」を体験し

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    2021年05月05日
  • 水と礫

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    ネタバレ

    人生とは半直線ではなく、網目状に連なるもの。物語が過去、未来へと拡張していくことでそれを体感できるのが面白い。甲一は新しい価値観を人生にもたらす存在のメタファーで、砂漠は未知の世界の入り口?それぞれの人生が波状に影響しあっていること。

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    2025年07月28日
  • その午後、巨匠たちは、

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    相変わらず作者の技量やアイデアには感心する。ただ、シンプルにつまらない笑。文才もあると思う。前作に続きファンタジー的な作品だが、前作よりも説得力のないストーリーになっていたような気がする。

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    2025年07月21日
  • その午後、巨匠たちは、

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    文章の構成は斬新だと思う。読みやすいし。
    面白いといえばおもしろいが、そうでもないような?
    何とも言えない内容。

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    2023年07月30日
  • その午後、巨匠たちは、

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    初めての作家さん。
    どこかの神社に6人の巨匠が祀られ、現代に蘇る不思議な話。どういう基準の6人なのか不明ですが、ダリは大好きだし、北斎とモネも好きだから嬉しい。筆触分割されたモネの花びらの美しさ。ダリの磔刑図を使った【キリスト昇天動力装置】の発想がすごいです。北斎が粋でした。

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    2022年06月18日
  • 水と礫

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    主人公クザーノの人生を核に、その先祖や子孫にまで話が及ぶ壮大な小説。基本となるストーリーを少しずつ形を変えながら何度も繰り返す“ループ構造”となっていて、その始まりや終わりに主人公以外の人達が描かれる。クザーノの直系親族以外は日本名で東京も登場するが、舞台となるのは東京と陸続き(?)の砂漠の街である。つまらなくはなかったが、よくわからなかったというのが正直な感想だ。

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    2020年12月16日