作品一覧

  • 「池の水」抜くのは誰のため?―暴走する生き物愛―(新潮新書)
    3.8
    1巻836円 (税込)
    「池の外来種をやっつけろ」「カブトムシの森を再生する」「鳥のヒナを保護したい」――その善意は、悲劇の始まりかもしれない。人間の自分勝手な愛が暴走することで、より多くの生き物が死滅に追い込まれ、地域の生態系が脅かされる。さらに恐ろしいのは、悪質マニアや自称プロの暗躍だ。知られざる〝生き物事件〟の現場に出向いて徹底取材。人気テレビ番組や報道の盲点にも切り込む。

ユーザーレビュー

  • 「池の水」抜くのは誰のため?―暴走する生き物愛―(新潮新書)

    Posted by ブクログ

    近隣の川でも、目につく生き物はミシシッピアカミミガメ、アメリカザリガニ、コイ、タガヤシだけ。釣りをしてもブラックバスとブルーギル。
    外来種だけとしか出会わない環境になってきています。
    「善良なる無知な人間ほど困ったものはない」
    生態系や自然環境に関わる問題のみならず、SNSでも”お気持ち”が最優先され正しい情報や理論的根拠のある情報が伝わらなくなってしまうのは同じなのか。
    一方通行ではなく、多方面から、あらゆる角度から観察し考察し、その時点での最適解を見つけ出すべきなのは自然保護でも変わらない。
    変化する自然環境や生態系。自分に出来る範囲で学びを継続していきたい。

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    2023年08月24日
  • 「池の水」抜くのは誰のため?―暴走する生き物愛―(新潮新書)

    Posted by ブクログ

     科学的な知識を身につけていない(身につけようとしない)善意ほどこわい物はない…と常々思ってきた。ここでいう科学とは自然科学だけではなく社会の科学も含まれる。戦争は常に善意から生まれる。
     生物多様性を破壊しかねない行為にも,善意から生まれるものがある。やれ,稚魚の放流で生き物の大切さを学ぼうだの,買っていたネコやかめがかわいそうだから,とりあえず自然に離してあげようなどという行為は,命を大切にしているようで,その生物以外の命を大量に奪っている行為かもしれないのである。
     本書の題名である「池の水を抜く…」というのは,もちろん,あのテレビ番組のことである。外来種がいたといって大騒ぎをする一過性

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    2022年01月25日
  • 「池の水」抜くのは誰のため?―暴走する生き物愛―(新潮新書)

    Posted by ブクログ

    有名な池の水を全部抜く番組の批判かと思いきや、もっと深い環境についての本でした。里山にカブトムシが帰ってくる環境を作ろうと他県のカブトムシを放流して炎上した議員の例など、いい人だけど知識がなくてやらかした例や、悪意のある例など豊富に紹介されています。最後に自身の失敗例も挙げられており、真摯な人が書いた本だなと感じました。

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    2021年01月06日
  • 「池の水」抜くのは誰のため?―暴走する生き物愛―(新潮新書)

    Posted by ブクログ

    生態系を守るという視点と生物愛の対立。池の水を抜く番組などを例に生物多様性の抱える問題点を語る。

    間違った生き物愛の事例が豊富。野生動物に餌付けすることで人馴れしてしまい結局ヒトと対立する例、希少動物を勝手に放流、インスタ映えする写真を撮るため動物に近づきストレスを与えたり。天然記念物を守るため繁殖した猫を捕獲するのを文春砲に攻撃されたり。

    動物が可哀想だから、という視点が時に間違った方向に行ってしまうことが残念ながら良くあるようだ。

    池の水も一度だけではなく何度も抜かないと本来の生態系には戻らないというのも意外。テレビ受けだけでなく地道な活動が必要なようだ。

    筆者は初の著作。滲み溢れ

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    2020年12月24日
  • 「池の水」抜くのは誰のため?―暴走する生き物愛―(新潮新書)

    Posted by ブクログ

    p22.より引用”宮城県の沿岸部で進められている、防潮堤の上に盛り土をして、広葉樹を植える事業が、苗が枯れるなどして難航している、というような内容でした。”
    ”植生の研究で著名な学者、宮脇昭・横浜国立大名誉教授の提唱する、「元々そこにあったはずで、そこで最も安定的に存在する植生(森)」を苗の段階から作ってしまおうという理論に基づく事業”

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    2021年01月23日

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