技術マネジャーにとっては、とても響く言葉が山盛りで、さすがにトヨタの人材の書くことは違う、と唸らされる。・・のだが。
「かくあるべし」がいっぱい述べられているが、僕の乏しい経験からの感想に過ぎないとはいえ、書かれていることを、平均60点レベルであっても、クリアしているエンジニアは、存在しない、と断言
...続きを読むしたい。
理想論を結晶化して教材として用いるのは結構であり、どれか一つ2つでも実践できれば十分すぎるというのならいいのだが、純真な若いエンジニアは、こういう本を読んで、高揚した気分になり、といって、実践できる項目はひとつ、2つ、悪くすればゼロのはずだ。世界に冠たるトヨタとはいえ、人間のレベルというのは、どの会社でもそんなに差があるものではない。
そして、これらの結晶化した美しい言葉で綴られた「教え」は、実践していない半可通の人々によって、口伝として、先輩から後輩へと伝えられる。あたかも先輩はそれを実践しているかのように、新入社員には受け取られるはずだ。
これは、悪意にとれば、「しごき」「いじめ」の図式にも通じる。トヨタは今までの時代は、このやり方で人材の全体レベルを上げてきたという成功体験があるのだろうが、人の気質が変わり、世界中で「生産」の意味も大きく変わりつつある現在、この本に書いてあることは、昔の「精神論」にすぎないとも言える。