作品一覧

  • ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者

    ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者

    ビジネス・実用

    4.2
    1巻902円 (税込)
    『全体主義の起原』『人間の条件』などで知られる政治哲学者ハンナ・アーレント(一九〇六―七五)。未曽有の破局の世紀を生き抜いた彼女は、全体主義と対決し、「悪の陳腐さ」を問い、公共性を求めつづけた。ユダヤ人としての出自、ハイデガーとの出会いとヤスパースによる薫陶、ナチ台頭後の亡命生活、アイヒマン論争――。幾多のドラマに彩られた生涯と、強靭でラディカルな思考の軌跡を、繊細な筆致によって克明に描き出す。

ユーザーレビュー

  • ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者

    Posted by ブクログ

    娘に、いやすべての人に、人生のどこかで出会って欲しい一冊だった。感動した。
    ハンナ・アーレントという稀代の戦う政治哲学者の一生をおいかけながら、そもそも「理解するとはどういうことか?」あるいは「人生とは?そこにおける友人という存在は?」などなど、深く深く突き刺さって抜けない杭を、次々に打たれる感覚になる一冊。

    矢野先生の秀逸な導きを通じて、よくよく日本の人文知界隈でも引用されがちなアーレントの哲学は、彼女の人生を知ってこそ意味があると思い知った(彼女自身も、哲学者はその著作だけではなく、声やふるまいが超大事だと明言してるらしい)。
    伝記が苦手な人でも、読み出すと手が止まらないはず。

    0
    2026年06月07日
  • ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者

    Posted by ブクログ

    p136
     アーレントは、現代人が生きる条件としての「世界喪失の増大」を、「あいだの枯渇」あるいは「砂漠の拡大」と言い換えている。 人びとの関係性が成立するあいだの世界が失われた砂漠的状況は、本来ならば人びとを苦しめる状況であるのだが、近代心理学は「砂漠」が関係の枯渇にではなく人間自身のなかにあると見なし、世界的生活条件に人間を適応させようとしたとアーレントは見る。
     アーレントによればそこには、苦しいなかで判断しつつ砂漠を人間的なものに変えようとする力が失われる危険性がある。
     もう一つの危険性は、「砂漠の生に最も適した政治形態」である全体主義運動が展開することである。人と人とのあいだの行為の空間、あるいは共通の世界が失われるなかで、相互に孤立した人間が全体主義運動へと組織化される…

    ★「あいだの枯渇」がポピュリズムを生む。単独の生の領域(おそらく「私性」のこと、自己愛的な領域と言ってもよいか?)を守りながら、人々を結びつけて離す「あいだ」の空間を作っていくことが対策となる。p139
    そしてそれが政治の課題でもある。p220
    ★なぜ石丸伸二にあれほど惹きつけられたのかがようやく分かった。依存症と自己対象転移と対話とあいだと政治が直線上でつながるからだ。

    ブレヒトの詩
    「暗い時代に そこでも歌は歌われるだろうか 歌われる 暗い時代について」

    0
    2026年04月28日
  • ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者

    Posted by ブクログ

     二十世紀の激動のさなかを生きたアーレント。本書はそのアーレントの生涯を丹念に追いつつ、その思想を理解する手掛かりを与えてくれる本である。アーレントの思考自体が「手摺のない思考」と呼ばれるように、彼女の生涯もまた手摺のない生涯であった。未曽有の体験を経て紡がれた彼女の言葉を受け留めることの意味を考えさせられる一冊である。
     アーレント研究は日に日に増して膨大な量に上り、アーレントに興味を持つ人は途方に暮れてしまうかもしれない。本書はそのような読者のための本である。本書はすべてのアーレント研究の礎となるアーレントの生涯の出来事を彼女の言葉を手掛かりに追っていく。本書で繰り返し言及される決定版とも言うべきヤング=ブルーエルのアーレント伝が最近著者の監訳で刊行されたのだが、そのアーレント伝に多くを負いながらも、できるだけアーレント自身の言葉を通してその生涯を伝えようとしていることが印象的である。
     前半部では、アーレント自身の著書が著されていく前の、戦争へと向かっていく時代、そして戦争の時代そのものをどう生きたかが記録を頼りに詳細に描かれる。カントを読み、ハイデガーのみならず当時を代表する神学者たちの活発な議論を横目にヤスパースの許でアウグスティヌスに取り組む姿が目に浮かぶ。中でも印象に残るのはベンヤミンとの交流である。彼が失意のうちにこの世を去った痛みを自らも一身に引き受け、後々まで彼の言葉を残そうとするアーレントの姿に打たれる。そしてまた、彼女の言葉を読むことができることが如何に奇跡的なことであるかということをも思わされるのである。
     後半部は『エルサレムのアイヒマン』が引き起こした論争に焦点が当てられていくのだが、戦後の苦悩の中で生き生きとした交流の内に思索を続けていく彼女の様子が印象的である。しかしそれは順風満帆とは程遠く彼女が生きていくこと自体が如何に苦闘の連続であったのか、それこそ戦争の動乱から引き続いて彼女が如何に手摺のない生涯を生きてきたのかを想わされる。むしろ苦悩の中で語られるユーモアが彼女の優しさを伝えてくるのである。
     本書には戦慄するような一節がいくつも書かれているのだが、エリック・ホッファーの「砂漠の中のオアシス」についての考察は今の私たちに非常に問いかけるものがあった。アーレントが「孤独」という言葉に込めた意味、「はじまり」を為すために一人でいることの大切さを説く箇所は、ヨゼフ・ピーパーの『余暇と祝祭』における余暇論を思い起こさせる。私たちが自分自身であるために、オアシスを、孤独を、余暇を必要とするのである。世界が世界であるために私たち一人ひとりの「はじまり」が必要であることを繰り返し思い起こさせてくれる本である。
     本書は丹念にその生涯を追うだけでなく、主著がどんな状況下で著されたか、そしてその哲学的問いかけを読者にわかりやすく伝えてくれる。彼女が学者として生きたことは世界との隔絶ではなく、むしろ家事や生活における行為と同列の人間的行為であり、なおかつ後に残る活動であったことを思い起させる。アーレントの思想が問いかけるものは今も変わらず生きている。むしろ今こそ向き合うべきであることを伝えてくれる。アーレントに関心のあるすべて読者に強く勧めたい一冊である。

    0
    2025年12月08日
  • ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者

    Posted by ブクログ

    アーレントの人生をざっと知るによいテキスト。20世紀前半の困難な時代を生たベンヤミンたちとの交流に強く共感した。

    0
    2024年02月27日
  • ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者

    Posted by ブクログ

    この本を読むと、アーレントの眼差しに触れることができる。アーレントと知らない街角ですれ違ったような気分になれるので、ほとんどの思考する人はアーレントの著作へと誘われる。

    0
    2023年06月02日

新規会員限定 70%OFFクーポン 今すぐGET