これからを生きていくあなたの
希望となれますように
あとがきに記された、Dさんの想いがあまりにすてきで、読み終えたあと、心救われました。私自身、深刻なパワハラを経験したものなので、同じように、救われる人がきっといると思います。
『実践アニメ療法』パントーフランチェスコ、によろしく、物語は、人の心を救う臨床に最も適している気がするのです。
是非とも、一度、手に取ってみてください。
※
以下、ネタバレを含みます。
箇条書き風に書きましたので、めずらしく、
「ですます」ではなく、「だである」で記されています。
筆者渡鴉のレビューを読み慣れている人には違和感があるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。
感想と申しますより、雑記、散文です。
時間の許す方のみ、お付き合いくださいませ。
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◆三井先生
古いパワハラ体質の企業に勤め、疲弊した末に転職。「一生の後悔をするぐらいなら、頼って欲しかった」と親に泣かれたことがある。この体験を知り、自らも、追い詰められた境遇を親に知ってもらいたいと、英治くんは考えるようになる。
◆高柳先生
この感想を記す筆者・渡鴉の直感によると、彼もおそらくは元被害者である。それゆえに、加害者に転じる境遇と、被害者に陥る立場が、客観的に理解できるのだろう。
自分の出世よりも、生徒一人の命を守ることに、嘘偽りのない覚悟がある立派な人。近藤氏の陰謀と振る舞いの醜さに、直接的な害意を想うことはあれど、それでも高柳さんは、彼すらも、「罪を反省し、よりよく生きていく機会があるべきだ」と願っている。過去の自分を重ねた復讐に酔っているわけではなさそうだ。あるいは次巻以降でどうなるかは分からない。そんな彼でさえ、まさに、復讐に酔っている「あるじんぶつ」が持ってきた証拠写真は、おそらく容赦なく使うのであろうが……それに関しては、まぁ、自業自得である。
なんにせよ、歴史の出来事に明るく、そこから学んで、現代の人間関係も、そう容易くはいかない、男女ならばまして尚更なことと理解している様子は、同じく歴史オタクな渡鴉にとって共感が大変強い。イギリスの国教会の成り立ちの経緯も男女関係に大きく依存している様子など、Dさんはなかなか地政学にも詳しそうだ。もぎせかチャンネル、おすすめだゾ♡
◆青野婦人
旦那さんを、守さんを、心から愛している立派な女性。美雪さんを娘のように慕っていたはずなのに、彼女が人として違えたことを認めると、妥協のない厳しさで彼女の関係を断ち切っていた。反省すらさせてもらえない、やり直しの機会すら与えられないという悲しみが、近藤氏の陰謀により近づけさせてしまうという、結果的に悪循環になってしまうとはいえ……息子の気持ちを最優先にして、後の人たちのことは、自分で立ち直りなさいといった心意気でかる様子は、単純に渡鴉としても深く共感するものである。
このあたりは、噂に流されて悪意を払った第三者たちの心境よりも、今にも自死してしまいそうな被害者を救うことを第一としている高柳先生と近しい心意気が見える。トランプ大統領によろしく、最愛の者第一でいいのである。誰もがそうやって隣り合う人を大切にしたとき、世界平和は、「勝手に実現している」ぐらいでちょうどいいのだから。
それにしても、キッチン青野の休憩部屋、とてもいいと思う。Netfl○xやらY○utubeやら、自由に使っていいのは最高である。定食屋の定番の光景として、テレビが垂れ流されているのは、もはやあるあるであり、伝統ゆえ、誰もそれを変えようとはしないものだが、、、あえて、そう、あえて、定食屋でも、テレビ番組以外が放送されていてる店があってもよいではないかと、日頃から考えている。前述のもぎせかチャンネルや、CGSのような番組が流れていたら、通うだけでなんとなーく賢くなってしまいそうだ。笑
ミニマリストには人気のVlogerに、あつしさんという人がいるが、彼も英語を学ぶときは、ポケモンやワンピースなどのアニメから刺激を受けているという。実際にそこで生活している人の動作と言葉を連続して見、聞くことが出来るため、覚えやすいのだそうだ。かくいう渡鴉も、哲学のきっかけは、ノベルゲーム、アニメ、小説、漫画、映画である。初めに紹介したパントーフランチェスコ氏に至っては、実際にアニメで臨床医をやっている。もう一人、参考にしている臨床医である中井久夫氏も、おそらくはアニメにも詳しいと見て取れる発言がいくばくか見受けられる。
ただその時間に放送しているからという漠然とした理由でなんとなく楽しむのもそれはそれでおつなものだが、目的を持って楽しむ教養というのも、慣れていけば、とても幸せな気持ちになるものだ。そうしたきっかけを、まちかどの定食屋さんが提供してくれるというのは、なんとも「あじ」なマネだと思えるのだ。
◆青野守
英治くんの父。
炊き出しの提供をしたり、その提供場所の許可を前職市長に優先的にもらっていたり、何かと人望の厚い人であったようだ。
仕込みの最中にあっけなく亡くなってしまった様子も、「遺伝子組み換えワクチン副反応」の警告を示しているように思えた。コロナ禍とハッキリ言われていたことからも、茶番デミックが起きた世界線であることは間違いない。そして、たとえ死因は、誰かの意図によるものであったとしても、その死に際に、大勢の人が惜しみ、愛を伝えてくれたのなら……ときを経るごとに、その人の身近な誰かでいられたことが、少しずつ誇らしく思えるのではないだろうか。実際、英治くんは、父のようになれと期待されることが、重かったと思いながらも、彼を亡くしてからは、素直にそうなりたいと思えるようになったそうだ。
人はどう生きるか、である。誰かの期待に応えなくてもいい。けれど、求め、試されたとき、ありのままの心で、助けることを躊躇わないでいられるのなら、、、それは間違いなく、尊敬すべき人だと思える。
◆天田美雪
不幸な女性。
まさしくその一言に尽きる。
容姿がいいと言うことは諸刃の剣であると、一条愛さんが述べているように、彼女は容姿がいいからこそ、たまたま近藤氏に狙われてしまったのだから。
おそらく英治くんは容姿で人を測ったりしない。何故なら、同じ文芸部の林さんにも、自分の捨てられた小説原稿を守ってくれた経緯に対して、深く感謝していたからだ。極端な話、愛さんのきっかけがなくとも、林さんのこのエピソードがあれば、新しい恋の相手は彼女になっていても不思議はなかったのだ。
そして林さんは、大変失礼な物言いにはなるが、著者のDさんに曰く、いかにもな勤勉容姿の人である。色香に惑う美しさがないことは明白。そんな人にも尊敬を覚えるほどには、英治くんは容姿に頓着しないのである。かくいう渡鴉は、性欲においては素直に美女を好むが、一度関係を持った人には、隔てなく尊敬を覚える者である。
さて、そんな不幸な美雪さんはどうして生きてくのか。高柳さんには、質問の内容で虚偽を見せたあたりから失望されていたようだが、願わくば、彼女に反省をやり直しの機会があらんことを。なぜって?それは、彼女が美女だからさ!HAHAHA!
◆サトシ
やぁ、同胞!
SNSを頻繁に見ないがために、クラスでの悪意の書き込みに気づかなかったという件も、ここのところ、あまりネットに浸からなくなった渡鴉と重なるので、共感が深い。そのまま立派になっておくれ。ブシドー!
、、、もしや、近藤氏が「ドレイゲットだぜ!」と茶化してたあたり、サトシくんの名前の由来ってマサラタウンだったりするのだろうか?笑
◆南市長
守さんの仕事ぶりを熱心に応援していた、キッチン青野の元常連であり、前職市長であった人。個人的には河村市長がモデルなのだろうかと推察。
守さんの多忙を惜しむものの、彼の最期は決して寂しいものではなく、幸福であったと。自分のやってきたことを、想いを、誰かが受け継いでくれるなら、その中で自分は生き続けていると、父の言葉を伝えてくれた英治くんの様子に感動し、後悔を拭うことが出来た。
立派な男になった英治くんの心意気を認めつつ、けれど年齢としてはまだ少年である彼は、大人に守られていて欲しいと、大人の身勝手な美意識だと、自嘲した上で、彼は英治くんを守る決意を伝える。奇しくもその、守るという言葉は、愛さんの人生を変えたきっかけであり、英治くんの父の名前そのものである。
◆近藤氏
いやー、ここまで清々しい悪党、いる?
、、、いるんだよなぁ。
もはや腐敗しきったグローバリストそのもののような生き様。あまりの悪魔ぶりに、残酷な復讐を望む読者が多かろう。
けれど渡鴉は、なによりも自身の体験として覚えがあるだけに、彼には救われて欲しいと願っている。
身分が約束された父親の息子というのは、度が過ぎた期待に耐えきれず、かといって身を立てる実力も出せず、しかも親からは愛された自覚もないという、まるで「性格歪めるよくばりセット♡♡」のような環境で育つことがほとんどだからだ。しかも後になって他人に自分が求められるのは、名誉か、金か、はたまた家柄だけだ。誰も自分を求めていないと自覚しているだけに、その反動は強烈な暴力に依存してしまうのである。
ある男の思い出話をしよう。
彼の名誉のために、彼のことはN氏と呼ぼう。
N氏は、たびたび女性に手を出すものの、その成績と容姿の良さのために、今でいう「陰謀論」のごとく、なんでも一括りにして、「ありえない」と決めつけられ、誰も疑うことすらない状況に居た。そんな中、ある日、ついに渡鴉の友人の少女まで、彼にレイプされたのである。彼女は、渡鴉のことを信じ、あなたなら信じてくれるはずと、真実を語ってくれたのだ。当然、怒りに燃えた。渡鴉は、周囲の評判など気にすることなく、容赦なくN氏を殴り飛ばした。
「今までの噂もそうだろうと思っていた。
だが、根拠がないまま攻めることはもっと危ないことだ。
実際、911の報復と謳った戦争も、フセイン側に生物兵器など見つからなかったのだから。
けれど、お前はついに俺の知り合いに手を出した。
だから殴る。
これはけじめだ。
けれど追い討ちはしない。
お前に正義感で罵声を浴びせる奴らは俺が反省させる。
お前は悪党だ。だがやり直しは出来るはずだ。
一生そのままなんて、お前だって嫌だろう?
もう一度、誰かに愛されて、
もう一度、誰かを愛して、
生きてみたいだろう?」
後日、何故か渡鴉はN氏に溺愛された。
この世に正義はあった。
この世に愛はあった。
悪辣非道を繰り返す奴には、悲しみ嘆く者の叫びのために、報い応える者が必要だ。
だから俺は裁かれて当然だ。
ようやく君に、人の愛に出会えた、と、彼はいたく感動したそうだ。
ずいぶん手前勝手な話だが、事実である。
繰り返すが、エリートの子は、性格歪めるよくばりセット♡♡にご執心であるため、渡鴉のような、剥き出しの報復に出会ったことが、人生の転換だったのだろう。悪意から愛する人を守る勇気が人にはある。
その勇気は、自分に向けられなくてもいい。
現実に、その勇気があると知るだけで、希望がある。パンドラの箱の最後の中身は、愛ではなく、希望であった。まれにのぞみありと書いて、希望。希望があれば、人は何度でも勇気を育み、愛を守って生きていけるのである。
以上、ずいぶん長くなったが、渡鴉の体験談によろしく、近藤氏も、間違いなくN氏と同じ境遇であることがわかるため、渡鴉は、近藤氏のやり直しの機会があることを願うのである。
◆青野英治
ここまで歴史に詳しく、人物像の工夫が見事で、かつ、あとがきにあるように、人の希望のために物語を書くと、明確に意図している作家さんである以上、渡鴉としては、英治くんの名前の由来は、円谷英二&手塚治虫であると考えている。
どちらも、人の希望となる物語を生涯に渡って記した人であり、今なお、その志を受け継いだ人が作り続けているからだ。まさしく、守さんのように、自分のやってきたことと、想いを、受け継いでくれる人がいるのなら、その中で生き続けていけるのだ。
グリムノーツによろしく、想いは消えず、魂は滅びず、物語は続いていく、のである。
◆一条愛
もう、ほんと、かわいい。かわいい。
あんまりかわいいかわいい言ってると、正論ハラスメントでバリア貼られてしまうのでこのぐらいで。あ、むしろ渡鴉を拒絶するほど、英治くんへの溺愛ぶりが伝わるので、それはそれでおいしいですね。へへへ、、、ハッ!?バカップルから栄養をもらう限界オタク早口を披露してしまった!いいぞもっとやれ!(こらこら)
あ、むしろ、一条さんが本気レズセ○クスをキメて、美雪さんを近藤氏より満足させて、屈辱!屈辱!と言わせる展開も面白いからいいゾ!(月刊百合姫購読者&限界百合カプオタク早口)
以上、超大胆なネタバレ&雑記でした。
お付き合いいただき、ありがとうございます。
最後に、本作の脳内劇場配役をご紹介!
是非とも、早く次巻でお会いしたいです。
Dさん、また会いましょう!!
英治:内山昂輝 愛:佐倉綾音
近藤:松岡禎丞 美雪:石上静香
高柳:水島大宙 青野婦人:内田真礼
南市長:東地宏樹 サトシ:小野大輔
分かる人には分かる通り、ほとんどCharlotteの配役です。笑 東地さんもRewriteの江坂さんの印象なので、完全にKeyですね。
松岡禎丞さんは某「ワースットワン!ひぃー!?そうだ!じゃんけんをしよう!」の彼から。
石上さんは、悲劇のヒロインジンクスが強すぎるので、ハッピーエンドに向かって欲しいと願いを込めてお招きしました。アイリス姫とステラ姫ぐらいじゃないでしょうか、彼女の役でハッピーなのは、、、あ、シズクさんもいますね(※くめゆ)