国枝栄の作品一覧
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「国枝栄」の「覚悟の競馬論」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
ビジネス・実用
Posted by ブクログ
話題になっていた本を今頃読んだ。気付いたら調教師を定年退職され、厩務員デビューしていた。
題名が強烈だったので、JRAや競馬場現状を一冊にわたってどんどん批判していくような(イメージは現代新書の藤田騎手の騎手の一分)本かと思っていた。が、第1章は国枝氏の競馬との関わり、第2章・第3章が調教師としてのこだわりや戦略、第4章は海外遠征に関する一般的な話がメイン。
JRAや競馬への提言は第5章・第6章。第5章が主として東西格差問題、第6章が除外馬問題。書名に「覚悟の」とあったけれど、どちらかというと2006年にJRAに提出したレポート(129頁以下)にこそ覚悟がみられる。
東西格差問題は色々な要因が語られているが、国枝氏は立地や調教施設の差を要因としている。JRAへの提言なので、表立って労使のシステムなどを要因にできなかったのかもしれないし、実際にこれは要因ではないのかもしれない。各調教師に美浦・栗東それぞれに馬房を与えるという案は面白いと思った。
除外馬問題は優勝劣敗システムの徹底を解決策としてあげられている。この本が出たのは2019年だが、その後コロナ特需も経て、地方競馬も入厩が容易でなくなっているから時代は変わっているのだよな。
調教師を引退されたところで、国枝氏がかかわってこられた名馬についてや、今問題となっている外厩問題(この本にもいくつか指摘はある)について突っ込んだ本を出してほしいな。
Posted by ブクログ
【目次】
はじめに ―― 変わりゆく競馬界
ドバイターフ前夜の出来事 / 凱旋門賞断念の背景 / 激変期を迎えた競馬界 / 「詐欺師、ペテン師、調教師」!? / 次世代に繋げていく責任
現役調教師 JRA通算勝利数
特別インタビュー クリストフ・ルメール (騎手)
「国枝調教師とは哲学が一緒」
大事なのははじめてのレース / アーモンドアイ「強さ」の理由 / 日本の競馬ファンに感謝
第1章 調教師が大事にしていること
ヒカルイマイとTTG / 山崎厩舎時代に得たもの / イギリス研修 / シャドーロールとボルサリーノ / 厩舎開業 / 初重賞勝利 / 有馬記念と天皇賞・春を制覇 / 藤沢調教師との関係
第2章 調教師の戦略
レースは生きもの / 上昇する騎手レベル / 騎乗依頼 / 藤田菜七子をどう見るか / 騎乗指示 / 臨機応変の判断 / 競馬新聞をどう読むか / 厩舎の管理システム / 馬の体調管理 / レース選択
第3章 最強馬のつくりかた
素質馬が多く上場する「セレクトセール」 / 日高がうんだダービー馬 / 馬のバランス / 良血と馬格 / 牝馬の特徴 / 三冠牝馬アパパネとアーモンドアイ / 調教の要諦 / 外厩の進化 / トレッドミルとメトロノーム
第4章 海外レースに挑む
遠征の歴史 / 日本最強馬の挑戦 / はるかなる凱旋門賞 / 輸送事情 / 海外遠征褒賞金制度
第5章 東西格差をどう解消するか
西高東低 / 輸送競馬の弊害 / 東西格差の原因 / “栗東留学”の背景 / 格差が格差を生み出す実態
第6章 日本競馬への危惧
このままではダメになる / 除外馬問題 / 中央競馬と地方競馬のひずみ / 各種手当の見直しと信賞必罰の徹底 / レースの品質保証に必要なこと / 厩舎にも働き方改革が必要 / ゲートボーイの導入を / タカラテンリュウとラガーレグルスの教訓 / 優秀な人材確保のために / 世界標準にならった技術と単位 / すばらしいレースを見せるために
おわりに
【感想】
「調教師の仕事は、競走馬を1着でゴールさせること」と明快に定義する一方、無謀な乗り方をする騎手は好まないとも述べていて、調教師というのは勝利の追求と馬の尊重を両立するための繊細なさじ加減が要求される、むずかしい仕事だなと思った。
JRAの事なかれ主義を批判し、東西格差や除外馬といった課題にも鋭く切り込んでいるが、競馬はホースファーストであるべきという信念が一貫していて議論に説得力がある。
タカラテンリュウの電気ショック事件やラガーレグルスの出遅れ癖の「見せしめ」など、つらい思いをさせた馬たちに謝りたくなった。
【まとめ】
★ 競馬はホースファーストであるべき。ホースファーストとは、「できるだけ快適かつ合理的に使われること」が馬にとっての最善であるということ。つまり、馬が快適に過ごせるように気を配るとともに、調教やレースにおいても余計な負担をかけないよう馬を合理的に使うこと
- 調教師の仕事は、競走馬を1着でゴールさせること
- JRAの事なかれ主義: JRAは国に認められた唯一の競馬主催者なので、競合他社が存在せず、適正な市場原理がはたらかない。そのせいで、サラブレッドという商品の品質保証に関わる重要な問題(東西格差、除外馬など)が何十年も放置されている
- 負けたときは徹底的に原因を解明するべき
- 強い馬を見極めるうえで重視しているのは馬のバランス(馬全体をパッと見たときの、頭、胴、脚のバランス)
Posted by ブクログ
著者が調教師としてどんなことを信条にしているのか、どんなことに苦労するのか、を皮切りとして競馬会が抱える問題や行く末について論じている。
亮介に勧められて読んだ。
自分では進んで手に取る機会は無いであろう類の本だったので新鮮だった。
注釈が多くて助かった。
牡馬の方が牝馬より断然勝ちやすいものと思っていたが、案外瞬発力や飲み込みの早さ等、優っている面もある(斥量2キロ減というのもあるが)のは意外だった。
関東と関西の格差の章で語られている、坂路がトレーニングに関して重要な役割を持つというのも興味深かった。
レース馬の能力テストを行った方がいいのではないか、凱旋門賞の馬券が国内で買えるようにすれば良いのではないか、という現在の問題の打開策に関して、素人の自分でも分かりやすく論じられていた。
定期的に全く親しくない分野に飛び込んでみなくてはと思った。