ジェイソンレナルズの作品一覧
「ジェイソンレナルズ」の「エレベーター」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
- 作者をフォローする
- フォローすると、この作者の新刊が配信された際に、お知らせします。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
「ジェイソンレナルズ」の「エレベーター」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
Posted by ブクログ
兄ショーンを銃で殺されてしまったウィルは、掟に従って仇を討とうと考える。
そして、ショーンが隠していた拳銃を隠し持って、母に見つからないように、自宅のある8階から、こっそり下りのエレベーターに乗り込む。
誰にも会いたくない状況なのに乗り込んできた男はジロジロと自分を見る。
俺がわからないのか?わかりません。バックだった。ショーンの兄貴分。
なかなか次の階につかないエレベーター、次々と現れる、もう会えないはずだった人々。彼らとの会話から、ウィルはだんだんと自分のやろうとしている事の意味を考える。
詩の形式で語られる物語。読みやすいが、深く心に落ちていく言葉。
銃社会のアメリカの悲惨な現実とその犠牲となった子どもたちに向けて書かれた、と思う。自らも敵討ちを計画したことのある作者だからこその現実感でウィルの悲しみや苦しさが描かれる。
最後の一言がとても効いている。
苦しくても踏みとどまれ!と呼びかけている。人それぞれに、選ぶ岐路が現れた時、どちらを選ぶかちゃんと考えろと。
Posted by ブクログ
麻薬や犯罪が日常化するアメリカ社会では、衝動に駆られ行動を起こしてしまう少年少女が多い。10代に向けて書かれたこの小説は、全文を詩で綴られている。
おととい兄のショーンが殺された。
アトピーにかかっている母さんのために石鹸を買いに出かけて…。
15歳のウィルは、兄が隠していた銃を箪笥から探し出しこっそり家を出た。
「泣くな。 密告はするな。
"掟"に従って犯人を探し殺すのだ!」
8階から動き出すエレベーター。
7、6、5…各階でドアが開く度に、乗ってくるのは二度と会えないはずの人たち。煙草の煙と軋む音の中で交わされる声、声、声。
密閉された空間とLobbyまでの1分間。
エレベーターという硬質なものと、揺れ動く少年の感情とが絶妙に組み合わされている。詩形式なので臨場感が伝わり映像が見えてきた。
「Loser」喪失した"悲しみ" を、
「見知らぬ人に突然ペンチで奥歯を抜かれ、衝撃が頭蓋骨まで達する。ぽっかりと開いた空洞をいつまでも舌の先で探りつづけてしまうこと」と表現する。詩人らしいと思った。
兄ショーンの最後の言葉が心に残った。
著者から読み手へのメッセージだろう。
ウィルは踏み留まることができたと信じたい。
Posted by ブクログ
私の心はズタズタにされた。
家族を殺され、復讐をしてやると銃を手にすることから始まるであろう連鎖。
銃社会のアメリカが抱えている問題を子供の視点から、黒人のコミュニティの問題(貧しいあまりにドラッグの売人をやらざるを得ないことや、ドラッグに関わると芋づる式にギャングの問題に繋がること等)、それらを独特の詩の形式で炙り出す。
エレベーターに乗り込んでくる人たちが誰なのか。
一人一人の過去を辿っていくうちに視界が涙で滲む。
涙が止まらなくて、ページは濡れていった。
読んでいてなんとなく予想ができてしまうからこそ、心に重く響く悲劇の数々。
悲しかった。
大事な人を殺されたとしても、自分が怒りでどうにかなってしまいそうだとしても、復讐をしてはいけないとはっきりに示すこの小説が好きだ。
銃は何故誰でも買えてしまうのか?
何故黒人は映画を撮るためのカメラが買えないくらい貧しいのか?(銃は直ぐに手に入るのに?)
ドラッグを撲滅したいはずなのに減らないのは何故か?
異国の私達は何ができるだろう?と考える。
ジェイソン・レナルズの後書きも胸に刺さった。
そう、復讐をしたところで死んだ人は帰ってこないのだ。
彼も主人公と同じように誰かを殺したい衝動に駆られ、でもそうしなかったのは、やはり彼の周りの人達と物語に救われたからなんだろうな、と思う。
この本に出逢えて本当に良かった。