九州・本・社会のいずれかに関心がある人に全力でオススメ。
《読書に関して書かれた文章の中で今までに一番しっくりきたのが、イタリアの文学者ジャンニ・ロダーリの次の言葉だ。
「みんなに本を読んでもらいたい、文学者や詩人になるためではなく、もうだれも奴隷にならないように」
おのれの頭と体を使って自問
...続きを読む自答することの大切さを、シンプルな言葉でこんなに見事に言い切った文章は、やはり文学者や詩人にしか書けないと感動した一文だ。》
《社会学者のレイ・オルデンバーグが、「サードプレイス」という観念を提唱したのは四半世紀ほど前になる。家庭と職場の間をつなぐ居心地のよい第三の場所が現代社会では重要であるとし、その成立条件をいくつか挙げている。書店に併設されたカフェで行われるトークイベントは、まさにこの「サードプレイス」の条件を数多く満たしているようだ。》
《本屋はその「三方よし」を地で行くことのできる商売だ。単に本を売るだけではなく、カフェを併設することで大人の居場所を作り、イベントで人をつなぐ、というように社会的な活動にまで広げている。お客さんとお店はもとより、世間=社会にいい影響を及ぼすことができる仕事なのだ。誰も彼もが大企業や役人を目指すのではなく、商売人を目指す人も増えてくればいい。そんなジャンルにもっといい人材がシフトしていくような社会になるべきだと思う。店を輝かせることによって、自分の個性を表現でき、町とつながっていくような生き方はいいよと呼びかけていきたい。》
《本屋というのはインフラのようなものだ。町に絶対なければならないものだと思っている。そんな草の根的なインフラを維持するための重要な拠点だ。》
《本屋を一冊の雑誌になぞらえれば、並んでいる本はそのなかのひとつひとつの記事のようなものだ。並べる本を変えることで、まったくちがうメディアを作り出すことができる。その意味では、本屋の選書・陳列は、一種の編集作業のようなものだ。もちろん読者が追いついてこないひとりよがりの編集ではまずいが、一般の人間の潜在的な関心と社会の様々な問題の接点を探る作業は常に続けていかなければならないと考えている。》