小説や脚本を書く人が陥りがちな間違いについて脳科学的な知見から神話と真実をあばいていく内容である。
他の書籍だとこれまで鉄則というものがあってそれはこういう理由であるという体で書かれているものが多かった。本書はそれに加えて人間の脳それもその偏向性や欲求に即して説明しているところに違いがある。それ
...続きを読むはとても良い効果を発揮している。
付け加えると作者であるリサ・クロンさんはたくさんの良作だけでなく駄作に触れている経験を遺憾なく発揮している。小説・脚本においては十中八九最初からうまく書ける人はいない。この本のようなものでマナーを学び一度書いたら十回以上推敲して文章を磨き上げることが必要となる訳だがその理由を端的に示しており納得感がある。時間をかけることになることであるからこの「納得感」はとても重大だ。
グラフィックレコーディングなど打ち合わせや介護の見える化の講座をデザインして企業研修等で教えているのだが、研修講座とは時間芸術のひとつだと思っており、小説や脚本術はとても参考になる。本書もその一環で読んだ。