サブタイトル・・・というか、そもそも最初にアナウンス
されたタイトルは「活字プロレスとは何だったのか?」。
「活字プロレス」とは、80〜90年代に週刊プロレスで
編集長を務めていたターザン山本が発した言葉。それま
でのプロレス雑誌の試合リポートが試合の展開を追う文
字通りの「リポート」であったのに
...続きを読む対し、週プロに於け
るソレは記者の主観が中心。悪い言葉で言えば単なる
「感想文」なのだが、その内容は思い入れと熱に溢れ、
読者の想像をとことんまで膨らませてしまう。今になっ
て考えてみれば、麻薬のような雑誌だった。
その週刊プロレスの全盛期に活躍した編集者やライター、
関係者の証言集。・・・まず、この段階で凄いと思う(^^;)。
もちろんプロレスラーも数名出てくるが、主役は間違い
なく一介の雑誌編集者。それを読んでいる我々は、殆ど
の人物の名前(と下手すれば顔も)に覚えがある。自分
も含めてのことながら、プロレスファンとはかくも恐ろ
しき存在、と改めて思った。
それにしても、あの頃の週プロはまさしく「狂気の沙汰」
だった。解っていながらも毎週のように週プロを欲し、
週プロに書いてあることを確認したくて会場に何度も足
を運んだ。僕も間違い無く週プロの「毒」に侵され、ヤ
バい、という自覚を持ちながらソレを存分に楽しんでい
た。もしかしたらUWFもFMWも、ユニバーサルもみちの
くプロレスも、週プロの煽りが無ければ熱狂しなかった
のかもしれない。
今も週刊プロレスは存在するし、相変わらず毎週読んで
いる。でも、あそこまで熱くなる事はもうきっと無い。
だって、この本に出てくる人たちの熱は本当に「異常」
であり、さすがに今の週プロにそんな人材は居ない。よ
く考えてみれば、それが至極当たり前(^^;)なのだけど。
週プロは僕にとって今も「憧れ」だけど、人生がやり直
せたとしてもあの中には絶対に入れない。この本に載
っている人たちはみんな言えると思う。
「選ばれし者の恍惚と不安、二つ我に有り」って。