「ねずみ人間」「被害者の骨を食べた」などの異常な発言が世間に衝撃を与え、また精神鑑定の結果が鑑定医によって異なるなど精神鑑定のあり方が問われることになった宮崎勤の事件だが、本書により取り調べの段階では常人とはズレた感性はあるものの、精神異常とまでは言えない普通?の青年像が浮かび上がった。ただ、本人に
...続きを読むよる著作や数々の傍聴記から全くの詐病とも思えないと感じた。本書の最後に作田勉氏が述べているように「拘禁反応」と見るのが正解なのかも知れない。公判の途中までは多少話が通じていたにもかかわらず、中盤以降は全く意思の疎通が出来なくなった麻原彰晃にも通じる。
長い拘置所での生活はまともな人間であっても精神に異常をきたすのではないだろうか。事件の全容解明のためにも、拘禁反応による精神異常の問題をもう少し重視すべきではないかと思った。