全3部のうち、第1部を読んだところ。
訳がこなれていないというか、訳注を多用した結果言いたいことがぼやけている箇所が多い。
が、それをさっ引いても、よく分からない。
分かっている分だけを何となくまとめてみる。
・ラグジュアリーは、かつては社会階層を示す印であり、今日の自由平等社会では、社会階層を
...続きを読む再創造する役割を担っている。
・ラグジュアリーは、
(1)それを持つことが、上流階級(≒富裕層)に属していることを意味するような印となるものであると同時に、
(2)それを持つことに対する欲望や夢をかき立てるものである。
(1)の裏打ちとして、価格、希少性、隔離性(=例えば、ファーストクラスの乗客とビジネスクラスの乗客とがはち合わないようにすること)がある。
(2)の裏打ちとして、歴史、神話(=例えば、英国王室御用達、カーレースでの優勝など)、時間(作るのに時間がかかり、手に入れるまでに時間がかかり、時間をかけて楽しむこと)、教養(=違いが分かる人にだけ)がある。
・ラグジュアリービジネスは、従来型のマーケティングでは成功しない。例えば、
(1)顧客のニーズに応えると、製品のオリジナリティが失われる。
(2)顧客の手に届きやすくすると、製品の魅力が失われる。
(3)経費節減のために工場を移転すると、製品のアイデンティティが失われる。
・ラグジュアリーとプレミアムとは違う。
プレミアムとは、最高品質の製品であり、それゆえに、品質の点で他の製品と比べることができる。また、プレミアムにおける技術ては、快適さや機能性を追求するために用いられるものである。
一方、ラグジュアリーとは、最高無比のものであり、他と比較されるものではない(例えば、ポルシェとフェラーリとはどちらが優れた車か、という議論を超えたところに両者の魅力がある)。同様に、価格の比較も無意味である(例えば、Aに1000万支払うことと、Bに100万支払うこととの、どちらが妥当かは決められない)。また、ラグジュアリーにおいても最新技術が用いられるが、それはブランドの理想や夢を追求するために用いられるのであって、必ずしも完璧な機能性を実現するためではない。
と、このように、内容はおおざっぱにまとめられるものの、この本から何を得たのか、という点が今ひとつまとめられない。
とりあえず、時間をかけてでも最後まで読もうと思う。