藤井達夫の作品一覧
「藤井達夫」の「代表制民主主義はなぜ失敗したのか」「日本が壊れる前に――「貧困」の現場から見えるネオリベの構造」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「藤井達夫」の「代表制民主主義はなぜ失敗したのか」「日本が壊れる前に――「貧困」の現場から見えるネオリベの構造」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
全ての責任を個人に還元する自己責任論が、解決すべき社会問題が放置される原因となっているというのは、誰しもが気付きそうだが、指摘されていない卓越した解説である。
そして、その事によって、時の政権は、社会問題を政治課題とせずに済み、新自由主義による統治の補強になっている。
こういう論が、ジャーナリズムで主流とならないのは、全く不思議だ。
とてもわかりやすい文章で書かれているが、参考文献には、近代を何かと問う高度な学術的図書もある。
内閣の暴走。解散権の濫用。
日本会議など、右派による日常の政治活動。
日本会議の自民議員への浸透。
格差の定着。弱者叩き。
専門家集団によるセクショナリズム。
『平成とはアンチ昭和である』
Posted by ブクログ
トランプ政権の暴政を見て、なんでこんなん選ばれちゃうのかを政治制度の面から考えられないかと思い手に取った。
代表制度は権力の私物化を防ぐ為に取られた制度であり、ポスト工業化や新自由主義により価値観が多様化した現代においては代表するものが代表されるものの価値観とズレが生じ代表ができなくなっていること、それが為にポピュリズムが広がり代表制度が破壊され守られてきた権力の私物化が蔓延ること、が説明された。
ポピュリズムの定義は『ポピュリズムとは何か』にほぼ近しくより詳細に記載されている。本書の特徴としてはそれが権力の私物化につながりがちであることを代表制度がもたらされた歴史から示している点。ペルーのフジモリ政権がポピュリズムによって政権を獲得した後権威主義化したことを例に挙げているが、まさに今のトランプ政権も民主党及びエスタブリッシュメント批判によって支持を得、徹底的に批判・破壊することを口実にDOGEによる政府解体、ICEによる市民殺害や国際機関脱退、グリーンランド買収に反対する国に懲罰的関税をかけて脅すことなど、強権的な執行を行い自身の権力を高めている点はこれに当てはまるだろう。
本書のもう一つの特徴は、代表制度を改革するための具体的な方策を紹介している点。前掲の書籍のレビューで「既存の政治が拾ってこれなかった批判の声を取り込んでいく政治家/政党が現れることを期待するしかない。それは恐らく退屈だが既存の立憲主義的な手続きに則って一歩一歩政策を実現していくしかない」と書いたが、まさにここで具体的になにを考えていくべきかを示してくれている。選挙の場だけでは市民と代表者のズレは埋まらず、市民の政治への直接参加や監視を通して代表制度を民主化していく必要があることが示される。具体例として参加型予算が紹介されており、市民にアジェンダに対する予算の優先度を決めさせ政策の説明も担わせることで意思決定に関与させ、エンパワーメントを進めるという点は面白かった。こういう具体的な例を見ると政治も日々の生活と変わらず、会社業務でも若手や受け手になりがちな支部が意思決定に参画・リードする立場になってもらうことで本部と支部のズレを埋められるな、と思うなど。
本書も指摘するように実態は選挙すら投票率も低く市民のこうしたら積極的な関与はハードルが高いこと、そうした関与に参加する市民はそうでない人との差を生んでしまいこれまでの代表制度と変わらなくなるのではとの留意点は気をつけつつも(自分も市のパブリックミーティング出てと言われてもしんどいなと思っちゃうわけだが)、こうした地道な取り組みなくして政治の信頼は得られないのだろう。
アメリカはカリスマ的な指導者が熱狂的な言説を作り上げて国民を引っ張っていくヒーロー性が求められがちだが、そうした個人に依存した一過性のムーブメントだけでなく、これらの対話を積み重ねることで基盤を形作ってもらいたい、と感じた。民主党のよく使うright side of historyという表現は善悪二元論のようで批判されがちだが、対話を通した代表の努力自体は常に正しい側であり、権威主義に陥らないための欠かせない取り組みであると思うので、これをリベラル・左と捉えられずあらゆる集団の声を真摯に聞く取り組みをしてもらいたい。
こうした検討ができたので有意義な本だったが、ポピュリズムの整理は前掲の書の方がより丁寧で網羅的であったこと、代表制民主主義の失敗により中国の体制がより惹きつけるだろうとの指摘が若干飛躍しており同意できかねたこと、また新自由主義批判があまり詳細でなくイデオロギー的に感じたことから星三つ。読めたのが良かったことは間違いない。