世の中がどうあるべきか、どういう政体であるべきか、たまに考えることがある。
目の前の様々な問題を見ると、もうどうにもならないのではないかと考えるのをやめたくなることもある。
そんな時に、指針を示してくれるのは、先人たちの遺産だと私は常に思っている。
こういうことを、それこそ人生をかけて考え
...続きを読む抜いてくれた偉人たちの考えを学ぶところに立ち返る。
それによって何か得られるのではないだろうか。
ということで、手に取ったのが「大人の道徳」だ。
ちょっとまだ自分のなかで咀嚼しているところだが、
要は、
・学校教育における道徳とは、いわゆる心の在り方ということではなく、
民主主義や市民社会の前提となっている考え方・ルールであり、
それを子どもに叩き込むことで市民に育成することが、道徳教育である。
・いまの民主主義には、主権者側からみた「共和主義的民主主義」と、市民側からみた「自由主義的民主主義」がある。
・現代日本にとっての主権者はアメリカであり、日本国民はホッブズ的市民に過ぎず、
古代ギリシャの民主主義から見れば奴隷的である。
という内容だと理解した。
これらの内容は、むしろ今までの議論の歴史をわかりやすくまとめたものであり、著者の考え・理論は少ない。
そして、理想論とはいえ、あまりに現実的ではないだろう、と思わなくもないのも確かである。
だから、まずは本書で考えを整理して、そのうえで思考を積み上げていけばよい。
そう思わせる一冊であった。