荻野富士夫の作品一覧
「荻野富士夫」の「検証 治安維持法」「証言 治安維持法 「検挙者10万人の記録」が明かす真実」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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ビジネス・実用
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Posted by ブクログ
大正末期の1925年に制定された治安維持法。当初は「国体の変革」や「私有財産制度の否定」を目的とする結社、主に共産主義者を取締の対象としていたが、終戦の年に廃止されるまで運用対象は一般の市民にまで拡大され、普通に暮らす普通の人々が次々に検挙されたました公文書に記載された検挙者のデータと当事者や遺族の生々しい証言や手記を通して、治安維持法が運用された20年間を検証します。
多くの一般市民を監視し、検挙、厳しい取り調べと拷問、獄中や出獄後の苦しい生活が生々しく証言されます。法律改正と拡大解釈により、多くの市民の自由を奪っていった治安維持法。今、政府は、治安維持法の再来ともいえる共謀罪を成立させ、この書で紹介されている弾圧をできるようにしています。治安維持法の恐ろしさを知り、共謀罪を使わせず、えん罪も生まない運動を強めていくことが重要です。
Posted by ブクログ
治安維持法による検挙者数のデータを土台として、治安維持法がそれぞれの時期でどのような特徴を持っていたのか示す本。
「ETV特集」の番組を書籍化したという成立経緯もあって、当事者・遺族の証言を意識的に入れている。治安維持法によって人生が曲げられた人々の生々しい話があるため、入門用によいと思う。
当初の共産党対策の代表例として「三・一五事件」、検挙対象の拡大・地方への波及の代表例として「二・四事件」、植民地での適用実態、拡大解釈の代表例として「生活図画教育事件」について述べられている。
著者は「横浜事件」を取り上げていないことについて「力不足」と書いているが、本書の文脈からすると取り上げないのは一理あると思う。
植民地での治安維持法の運用などは、まったく知らなかったので読んだ意義があった。
あと、自白調書に証拠能力を認めるのは、本書によれば1941年の治安維持法改正で盛り込まれ、戦後になって一般の刑事事件にも拡大されたという。
戦後の「公安」の源流は、治安維持法の下の思想検事、特高警察にあるので、現在に無関係な話ではないのですよね。
なにしろ思想検事の代表格ともいえる人物が戦後には最高裁判事になっているのだし(池田克)。
Posted by ブクログ
天下の悪法「治安維持法」。
なのだが、悪いところばかり書いててそうすかって感じがした。
もちろん、色々悪い結果になった。思想警察の根拠となって、拷問も横行したのは事実。
共産主義にちょっと片足の小指踏み込んだという「形式」のみでしょっ引かれるのも、なんか魔女狩りみたいで酷い。実際、酷い例が山ほど挙げられている。
しかし、だ。
時代の背景は日本は存亡をかけた戦争を繰り返しており、日清、日露、どちらで負けてても国がなくなっていたかもしれず、この時期はさらに大きな戦争すら想定され、共産主義とは実際に国を転覆し伝統を血で断罪することが実体として目の前にあったのだよね。
そんな時期に国を引っ掻き回されたら溜まったものではないし、共産主義への恐怖があったことも事実なのだろうと思う。怖れりゃそりゃ、過剰にも反応する。
弾圧だという前に実際騒乱起こしてたり、確かに違法な取り調べもあったろうが、じゃあ全部本当に思想の自由を完全に認めていたらどうなったのか。
内面自由は当然なのだが、それが表現、行動に現れた時にどんな影響があるのか。
現実の前に難しいとは思うよ。
結果として問題の多い方に行ってしまったのだが、じゃあ、治安を維持するという法規が全くなければ、どうなっていたのか。
あまり考えたことがなったが、結局、日本は長い戦争で、兵士を除く国民が現実戦場に立たされたのは、終戦が近づいてからなんだな。戦場は日本国土から遠く離れた外地だった。
戦時といっても、国民の自由を阻害する敵は、敵国でなく日本国であったわけだ。
目の前に銃持った敵が迫って来てたら、俺の思想を守れ、とかいってる暇ないもんな。
治安維持法というか、むしろその運用とか刑事訴訟の方がひどかった気もするが、ひどかったならひどかったで、それをなくしてしまえではなく、効果はどうだったのか、目的はなんだったのか、0ー100で判断するのではなく、じゃあ今現にそうした方が必要なのだとしたら、どうすればいいのか。
そういう論点が、なんでないのだろうと思う。
安易に、新たな戦前という言葉を使うのは、共産主義に恐怖して膾を吹いた治安維持法と、なんら変わりがない。
新たな戦前は迫っていると思うが、方向が逆ではないか。
本としては、事例が分厚すぎて、飽きる。
6割飛ばしても結論は変わらない。