谷川毅の作品一覧
「谷川毅」の「硬きこと水のごとし」「年月日」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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小説・文芸
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Posted by ブクログ
著者の閻連科(えん•れんか)は1958年、河南省出身。人民解放軍に身を置いた後、80年代から小説を執筆している。これまでに数冊が中国国内では発禁処分となっており、本作も本国では出版されていない。台湾と日本だけで出ているという状況だ。
内容は清朝第4代皇帝•康熙帝(こうきてい1654〜1722)を主人公とした、完全に架空の“幻想小説”だ。
晩年をむかえた皇帝は夢占い師の言葉や蒲松齢(ほしょうれい1640〜1715)の書く怪異譚『聊斎志異』(りょうさいしい)の物語世界に惹かれていく。やがて物語に出てくる“歓楽国”にどうしても行きたくなった皇帝は、多数の伴を連れて巡行の旅に出るが…。
本作は『聊斎志異』の怪異譚をうまく抽出•改変し、作中に織り込んでいます。原典を知っていると、その改変具合がよくわかって、更に面白さが増します。
しかし、本筋となるのは後半の、康熙帝の“桃源郷探し”です。最高権力者がたどり着いた先には過酷な体験が待ち受けているのですが、この辺りがどうやら本国での出版を阻んでいるようです。
例えば、猛威をふるう疫病治癒のためには皇帝の血が有効とされ、皇帝が無理矢理血を抜き取られる場面など、執筆されたのが2020〜21年だった事と関連付けて曲解する人もいるのでしょう。(知らんけど)
大変な力作で、原書は27万5000字あるそうですから、原稿用紙だと687.5枚!。本書も450ページあります。単行本は税込5280円。なかなかですね…。約2週間ほどかけてじっくりと読みました。重くて持ち歩く気にはならなかったから…。
それでも、面白くてページを捲る手が止められませんでした。中国古典好きにはこの気持ち分かってもらえるかなぁ。たぶん。
Posted by ブクログ
山深い農村が千年に一度の日照りに襲われ村人たちが村を捨てて逃げていく中、73歳の「先じい」は目の見えない犬1匹と共に一本だけ芽を出したトウモロコシを守るためにたった1人村に残り、日照りや飢餓、ネズミやオオカミと戦っていき、最後には‥
ただおじいさんと犬が日々生き抜いていく、それだけのストーリーなのに、胸に響き、圧倒的に引き込まれ、いっきに読み終えてしまいました。
帯のコメントで
「洗練の正反対にある生き方がもたらす感動は、地球サイズ、いや宇宙レベルといっていいほど大きいし、深い」
とあるのですが、まさにその通りの深い深い感動がありました。
著者は、中国河南省の貧しい農村で生まれ、飢えと孤独の中で幼少期を過ごした、と紹介にあります。
その生い立ちがあるからこそのリアルな農民の姿が深く心に響きました。
Posted by ブクログ
文化大革命とは、中国で1966年から、およそ10年も続いた革命運動である。正確には「無産階級文化大革命」といい、旧来の思想、文化、風俗、習慣を打破することで、新しいそれを打ち立てようとした社会運動であった。ただ、その実態は、産業改革「大躍進政策」に行き詰まって失脚した毛沢東の、名誉回復を狙った政治的な宣伝、プロパガンダであった。氏は自らの失敗を、旧来の思想、文化、風俗、習慣に責任転嫁したのである。つまり、文化大革命とは、先進的な階級闘争などではなく、ただの内向的な権力闘争であった。しかし、一度火のついた革命は、氏の手の内を離れて、中国全土、そして世界全体に広がった。数えきれないほどの文化財、宗教施設が破壊され、計り知れないほどの虐殺と弾圧が行われたとされる。いったい、その被害と、犠牲とは、今もってなお、その全容を知れるところではない。
さて、本書はそんな時代にあって、やはり革命を邁進した男の、最後処刑台から語る独白である。旧態依然の閉鎖的な村に生まれ、膨れあがる自意識を耐え難くしていた男の、これもまた才能を持て余し、旧家の令室に甘んじていた女と辿る、「エロ、革命、血笑記」。本書の殊勝であるのは、これがべつに革命の懺悔でもなければ、恋愛の礼賛でもないところにある。革命における理想と現実、恋愛における嘘と誠のような葛藤は微塵もない。むしろそれらは徹頭徹尾、渾然一体のものであり、ただのありのまま生として、そして、ただのあっけない死としてある。そう、たしかに、その生真面目さ、もとい滑稽さにこそ、文化大革命の真実があったかも知れないのである。
「そそりたつ乳房、震える乳首、秘密の三角地帯……革命の歌に乗って二人の欲望が炸裂する。」
筆者は、実際に中国の貧しい農村に生まれ、文化大革命を目の当たりにした当事者。生活苦から中国人民解放軍に入隊し、その創作を始めた。本作に先んじて邦訳第一作となった『人民に奉仕する』(『為人民服務』2005)は、その過激な内容から、中国本土では発禁処分となった。本作(『堅硬如水』2001)も発表当初は発禁を免れたものの、現在は増刷も、再版も許されていないという。とはいえ、その後も精力的に活動中。おそらく日本では、本作より『炸裂志』(『炸裂志』2013)のよく知られるところだろう。
「文化大革命の嵐が吹き荒れるなか、血気盛んな人民解放軍の若者・高愛軍は、故郷の貧村・程崗鎮に復員し、美しき人妻・夏紅梅とともに革命を志す。中国古来の価値観が残る村は、対日抗戦の殊勲者たる名家の人々が支配していたが、現状に不満を抱く若者たちを煽動して革命委員会を樹立し、村幹部を追放し実権を掌握していく。アメリカ帝国主義、ソ連修正主義に囲まれ、世界的な反中国の逆流のなか、マルクス、レーニン、スターリン、毛沢東ら、革命の聖人たちを奉じ、愛情の力で邁進する二人。やがて二人は愛軍が掘った「愛のトンネル」を通って夜な夜な逢瀬を重ねることとなる。近年ノーベル文学賞の候補と目される最重要作家による、セックスと革命、血と涙と笑いが交錯するドタバタ狂想讃歌!! 」