YouTubeのビジネスパーソン向けチャンネルPIVOTの番組で,著者がご出演されているのを拝見した際に,「この本を書いたらオジサマたちから余計なお世話だ!放っておいてくれ!とめちゃくちゃ叩かれたので,今では心が折れてしまった」と仰っていて,その言動がめちゃくちゃ面白かったので,実際の本の方も読んでみるかと思い拝読。
孤独は多くの人から思われている以上に,危険な状態で,タバコや飲酒などよりも寿命を短くする危険性があることなどは,前述の動画内でも説明されていたが,本書ではより具体的に,統計などの研究データなどもふんだんに用いた上で,孤独の危険が解説されていて,やや軽薄なタイトルの印象に比して,新書の中でもしっかりとエビデンス重視で記述されているところは,説得力が感じられて良かった。
(ただし出版からすでに8年近くが経過しているため,使用されているデータは,今となっては多少古く感じる面があるのには要注意。)
中盤までは,孤独がいかに危険で,中でも日本人の中高年男性が,社会構造や伝統的な規範意識の影響によって,孤独に対する対応がいかに困難であるかという説明が淡々と繰り返され,結構深刻さを伴う内容なせいもあってか,読むのにも重苦しい感覚が付き纏った。
終盤では,実際に孤独対策で一歩先を進んでいる,イギリスにおける中高年層の活動,非政府組織などが取り組んでいる中高年男性の居場所づくりの様子などが紹介されていて,読み進めていくほど重苦しさが緩和されていく流れの構成になっていて,少し心も軽くなり,ホッと胸を撫で下ろした。
ものづくりスペースやウォーキングサッカーなど,外国らしい取り組みで,住宅が密集していて広く自由なスペースが取りにくい日本においては,なかなか難しそうな側面も感じられたが,中高年男性に居場所や生きがいが新たに生まれる理想的な取り組みのあり方を知れたのは,自分も迎える可能性が高い「孤独なおじさん」になった際の,対処の取り方や考え方を,少しでも知っておくことができたようで,今後の備えになっていけば良いなと思う。
このように,基本的には素直に,「良い本だな」と,書かれている内容をありがたく受け止められたのだが,一冊通して全般的に,著者の記述のあり方が上から目線というか,ことあるごとに性差によるジェンダーギャップ,ジェンダー差における単純な二項対立へと持ち込んでは,「女性はこのような状況でも,うまく社交能力を駆使してネットワークを構築していけるけれども,その点おじさんたちはてんでダメ」という類の記述が,何度も何度も繰り返されるため,「そりゃあ,この本を読んだおじさんたちは怒るだろうし,放っておいてくれって思っちゃうよなあ……。」とは感じた(笑)
しかも本書の中で著者は,「おじさんたちはプライドを傷つけられることを何よりも忌避しているから,そう感じさせないような創意工夫が重要だ」と,何度も繰り返し述べているにもかかわらず,実際に自分自身でそれをできていないので,「いったいどの口が言っているのだろうか……。」と若干呆れてしまうところはある。
ただし,そのような面には目を瞑った上でも,良い本ではあるし,本書の中でも繰り返し述べられているように,中高年男性側,おじさんたちも人の言うことを素直に聞かないで,今私が書いているこの文章のように,すぐにダメ出しをしてネガティヴなフィードバックをしがちであるという,悪癖があるのも事実だ。
どちらの観点においても,悪いところは反面教師にしつつ,人と人とのつながりを,より楽しく豊かなものへとしていくためには,私たちひとりひとりが,お互いにとって心地好いコミュニケーションをとっていくことを念頭に置いて,努力し続けていくことが大切なのだと思う。