(若い女よ)将来を思い煩うな。遠い先までの希望を抱くな。占星術にお伺いを立てるな。それよりも、今日という日を摘み取れ(carpe diem)。花を摘み、葡萄を摘み取るように▼心を統治せよ。若いうちによりよいことに馴染め。新しい(若い)うちに染み付いた香りは瓶から消えない。あなたはのんびり行くか。力強く先を行くか。私はのろい人を待たないし、先を行く人は追いかけない。第二歌▼大いなる苦労なしに、人生は人間に何も与えない▼徳を求めすぎると、賢い人も狂人と呼ばれ、正しい人も不正の人と呼ばれる(1-6-15)▼欲望を抱く人は恐怖を抱く。恐怖とともに生きる人は決して自由になれない。第十六歌▼渇きに喉が焼けるとき、まさか君は黄金のカップ(で水を飲むこと)を所望しないだろう▼絵。近づいて立った時のほうが心を捉える絵もあれば、離れて見た時のほうがよい絵もある。暗い場所を好む絵もあれば、明るい光のもとで見られることを欲する絵もある。一度で気に入る絵もあれば、重ねて10度見たあとで気に入る絵もある。詩も同様である▼創作。今日という日を摘み取れ(carpe diem)、よく知られた語(「日」や「摘み取る」)を巧妙に組み合わせることで、新鮮さが生まれ、優れた表現になる。語を結びつける際に細心の注意を払え▼努めて簡潔さを求めると曖昧になる▼作品づくりは始めた時点で半分完成している▼分別の心に、わずかな愚かしさを交ぜよ▼ 一度発せられた言葉は取返しがたい▼征服されたギリシアが、野蛮な征服者(ローマ)をとりこにした。ローマ文化はギリシア文化の模倣にすぎない。ホラティウスHorace『書簡詩』 ※ローマ人
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アエネイス。トロイア戦争でギリシア軍に敗れたトロイア側の武将。トロイアが滅亡してしまったため、各地を放浪の末、新天地イタリア半島に上陸、ラテン人の王の娘と結婚。その後、アエネイスの子孫ロムルスがローマを建国。ウェルギリウスVirgil『アエネイス』
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許されたことに魅力はない。許されないことが欲望を掻き立てる。オウィディウスOvid『恋愛詩』
威厳と恋は融合しない。また、どちらも永く持続しない。オウィディウスOvid『恋の技法』
ゼウスが若い女イオと浮気。ゼウスの妻ヘラに浮気を疑われる。浮気をごまかすため、ゼウスはイオを白い牛に変えてしまう。オウィディウスOvid『転身譜/変身物語』
※cf. カフカ『変身』
※ヤヌス。前と後ろ反対向きの二つの顔をもつ神。入り口(始まり)の神。Janus。始まりの月January語源。
もし一年を通して太陽の日と雲の日とを数えてみれば、晴れた日の方が多かったということが分かるだろう。オウィディウスOvid『悲しみの歌』
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※前27 アウグストゥス(オクタウィアヌス)時代