アイヌの信仰、風俗、食事、歴史、周辺民族との交流、日本とアイヌの歴史についてわかりやすくまとまっていた。
日本の昔話は三人称、アイヌの昔話は一人称、っていうのが面白い。
「三千世界のカラスを殺しぬしと朝寝がしてみたい」という都々逸が北海道アイヌに伝わり、「ピリカメノコと ナシモコロ ニサッタパシコロ チシコラチ」と訳されて大流行した話、面白い。
落雷の炎から生まれたのが英雄オキクルミ。アイヌの文化神。英雄神。トリックスター。
オキクルミの相棒または兄弟がサマイクル。
この辺は大神ってゲームのモチーフになってたの思い出した。
義経が北海道に渡った伝説は、オキクルミ、サマイクル伝説とまとめて語られることがある。オキクルミが義経でサマイクルが弁慶。
アイヌ文化圏の最大領域は、本州北部(東北にはアイヌ語由来の地名もある)から北海道、樺太、千島に及ぶ。
・北海道の歴史
紀元前500-紀元500頃、続縄
紀元500-1200、捺文時代、オホーツク文化時代
アイヌ文化の成立期は13世紀ごろ。
・オホーツク文化との折衝
阿倍比羅夫の蝦夷遠征は、続縄文人と朝廷が共同でオホーツク人を排除したということ?
7世紀以降、日本海沿岸のオホーツク人は追い払われ、続縄文文化は捺文文化へ。
オホーツク人はいまのニブフ(樺太北部の少数民族など)
捺文人が力を増し、オホーツク人は樺太へ。北海道は捺文文化→アイヌ文化へ。両者の混合文化はトビニタイ文化。樺太、千島、北海道東北部がオホーツク文化圏だった(9世紀)。
アイヌ文化には、縄文時代の自然信仰、オホーツク人から伝来した信仰(熊への信仰とか)、平安期の日本の信仰が混ざってる。
・北の元寇
13世紀後半、捺文人は矢羽の原料になる鳥を求め樺太へ。ニブフの鷹取職人を捕虜にしたりしていた。14世紀、オホーツク人(ニブフ)は元に服属。
オホーツク人、元に援助を求める。
元は樺太の捺文人を討つ。
捺文人は元に朝貢することに。
明になると山丹貿易が活発化。
・山丹貿易
山丹人、とは沿海州の民族のこと。現在のウリチ人が近い。
清:山丹から毛皮を買う。
山丹:アイヌから毛皮を買う。
清:錦織物やガラスを売る。
山丹:清の錦織物やガラスを売る。
日本の開国と日露国境設定で消滅。樺太は行き止まりの島に。
・15〜16世紀
松前藩のアイヌ支配。
コシャマインの乱
シャクシャインの乱
に敗北。
・場所請負制、ニシン漁、アイヌ社会の崩壊
漁場へアイヌを労働者として派遣、働かせる。
ニシンの絞りかすからできる堆肥は西日本の商品作物の堆肥に。
松浦武四郎「知床日記」
酷使されるアイヌ労働者、人口減少、梅毒と天然痘の流行。アイヌ人口激減。
ニシン漁場からはなれた東蝦夷、日高地方で現在に至るアイヌ文化が受け継がれることに。
・コロボックル伝説は沈黙貿易を伝説化しているのかもしれない?
・アイヌの楽器
ムックリやカチョ(団扇太鼓)に似たものを、ウルムチの新疆ウイグル自治区博物館で見た。なんだか繋がりを感じる。
ムックリは台湾や中国西南部の少数民族、シベリア先住民族にも伝えられているらしい。台湾のムックリは映画「セデックバレ」でタイヤル族が演奏してるのを見たし。
・タバコ伝来以前のアイヌにも喫煙習慣があった。エゾユズリハの干した葉っぱや、白樺に生えるきのこ、水芭蕉よ派を混ぜたものを吸う。煙を食う、シュップヤイペ
・占い
下顎の骨を頭に乗せて落とす。たったら吉、ひっくり返ると凶。
寛政年間、宗谷にいた占い師の老婆は遭難者の行方や交易船到来を百発百中であてた。