ジョージ・マクドナルドの短編(彼の場合、フェアリー・ストーリーと言ったらしいが)も初めて読んだが、なかなか面白かった。
先だって読んだ長編物語もそうだったが、描写が細に入り、非常に美しく、また、ところどころに持ち前のユーモアが垣間見れたりする。
また、ここに収録された二編となると、訳者泣かせだと思う
...続きを読むが(原書では)たぶん、言葉遊びや歌のパロディなども味わいどころなはず。マクドナルドと縁の深いルイス・キャロル然り、シェイクスピア然り、イギリス文学の面白さの一端がよくあらわれている。
例えば‘軽い’(light) ‘ 明るい’、そして‘重さ’(gravity)には、‘真面目さ’という意味もあるので、お姫さまは、重さと同時にきまじめさも失ったわけだ。
同じ魔女の企みがらみでも、表題の『かるいお姫さま』とは、また少し趣が違うもののもう一作の『昼の少年と夜の少女』も、なかなか印象深い作品だった。おそらく、作者独特の死生観も投影されているのだろうが、幻想的な描写の数々がとても象徴性を感じさせる。
いずれにせよ、面白いので、いろいろ読んでみたくなりますね。