この本には、戦争によって生まれた12万以上の孤児たちの中の、
11人による体験が描かれている。
それは、思い出すのもつらいであろう死と隣り合わせの極限の体験である。
空腹と蔑みの中で、孤児から浮浪児となり物乞いや窃盗で暮らす彼らを、
大人は「刈り込み」によって浮浪児収容所に集め、街のゴミとして
ハ
...続きを読むダカのまま檻の中に閉じ込めた。
やっと生き延びた姉弟でさえ離れ離れにされ、
義務教育も受けられず差別された子どもたち。
浴びせられる心無い言葉・・・戦争は人の心を狂気に追いやる。
著者は、68年ぶりに絵を描いた。
孤児として生き抜いた日々を、色鉛筆のやさしい色調で3年をかけて描き
文章を添え仕上げたのが本書である。
『もしも魔法が使えたら、父さん母さんがそばにいるふつうの
家庭にいってみたい!あったかいお母さんの胸に顔を埋めて
思いっきり話がしたい。お母さんのいる世界へ今すぐ飛んでいきたい!』
もしも魔法が使えたら・・・
いつまでも戦争を知らないままでいられますように。