あらすじ
もしも魔法が使えたら、お母さん、あなたに会いたい!戦争孤児12万3000人。東京で、山形で、神戸で、空襲により孤児となった11人の少年少女たちの生きるための戦い。【解説より】苦しみに耐える子どもの顔は、あまりにも優しい。この絵本の魅力は、残酷な現実にもかかわらず、生き抜く子どもたちの美しい表情との対立にある。野田正彰(ノンフィクション作家・精神科医)
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Posted by ブクログ
庶民のリアルな戦争がえがかれている。疎開は両親と離れ離れになり孤児を生み出した制度でもあるとはこの本を読むまで気がつかなかった。戦争孤児の悲惨さを、具体的でわかりやすい言葉と絵により伝えてくれる。年齢問わずたくさんの人に知ってもらいたいと感じた。
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東京育ちの子供たちが親を亡くし、戦争孤児としてどう過ごしたのかが書かれている。多くが江東区あたりの子たちの話なのだが、知らないことも多く、またこんなにも親戚たちが意地悪で心が痛かった。なりたくて戦争孤児になったんじゃない!まさにそんな思いが伝わる内容だった。戦争を知らない子供達に啓蒙すべき1冊!
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集団疎開のほんの少しの知識や上野の浮浪児の一部の知識ではない。実際に集団疎開をして東京の空襲で保護者が死亡したときに、残された子どもが奴隷のように働かされたということを個別の事例として書かれている。これは知っておくべきであろう。
Posted by ブクログ
この本には、戦争によって生まれた12万以上の孤児たちの中の、
11人による体験が描かれている。
それは、思い出すのもつらいであろう死と隣り合わせの極限の体験である。
空腹と蔑みの中で、孤児から浮浪児となり物乞いや窃盗で暮らす彼らを、
大人は「刈り込み」によって浮浪児収容所に集め、街のゴミとして
ハダカのまま檻の中に閉じ込めた。
やっと生き延びた姉弟でさえ離れ離れにされ、
義務教育も受けられず差別された子どもたち。
浴びせられる心無い言葉・・・戦争は人の心を狂気に追いやる。
著者は、68年ぶりに絵を描いた。
孤児として生き抜いた日々を、色鉛筆のやさしい色調で3年をかけて描き
文章を添え仕上げたのが本書である。
『もしも魔法が使えたら、父さん母さんがそばにいるふつうの
家庭にいってみたい!あったかいお母さんの胸に顔を埋めて
思いっきり話がしたい。お母さんのいる世界へ今すぐ飛んでいきたい!』
もしも魔法が使えたら・・・
いつまでも戦争を知らないままでいられますように。
Posted by ブクログ
こんな悲しい話が現実にあったなんて。実の親がいない子どもの立場のなんて弱いことか。いじめられ、牛馬のようにこき使われ、挙句に捨てられるなんて。戦争孤児が悪いんじゃない、その戦争をした大人が、戦争を始めてしまった人が悪いのに。こんな悲しい経験が戦争。ならば未来永劫、戦争なんてしてはいけない。どんな戦争も一番の被害者は庶民なのだから。
Posted by ブクログ
大勢の犠牲を出した第二次世界大戦を思い起こさせる一冊。
文字が大きく、漢字すべてにふりがながあったり、絵が挿入されており、戦争についてあまり知らない人や、小学生向けの本かと。
ただ、あまり戦争孤児にスポットを当てた本を読んだことがなく、孤児になった原因は戦争によるものなのに、残された孤児たちは厳しい現実に立ち向かわなければならなかったんだと深く考えさせられた。
本の最後に以下のとおり書かれており、筆者の戦争に対する真の思いを感じた。
『戦争を知らない子どもたち
子どもたちから遊びが消えてしまう戦争が起きないよう
子どもたちから遊びを奪ってしまう戦争が起きないよう
いつまでも戦争を知らないままでいられるよう』