深海を見てみると、地球が生き物である、繋がっているということが実感できる。
この楽しそうな表紙と、最初に出てくる写真を見て楽しそうと思った。
内容は楽しい。だが、書いているのは大学の先生なので難解だ。
だから、理系のある程度の知識が必要かもしれない。
私も8割理解できたかどうかである。
モチーフは、タイトルそのまま
深海である。
三部構成になっていて、深海の生物、地震、その他(資源、ゴミ)となっている。
深海の生物については、自分が探査機にのっているような演出で解説も前半はわかりやすく
深海の生物について、とてもわかりやすく興味深い
わくわくするような内容なのですが、後半は難しくなる。
興味をひいた事柄だけ、さわりだけ紹介すると
生物というのは光合成で発生しているのだが
光の届かない深海にも生物は発生するという話しだ。
これを化学合成生態系と言う。
海底から熱が噴出している所に生物が産まれる
その噴出してくる水に、地中に含まれている色んな物質が混ざってという話しで
これなら、表面が凍土でもうちに海があり内部にマントルがある構造なら
地球外生物もと考えてしまうのです。
深海の生物は、菌と共生している
食べ物を食べない代わりに、それらの共生している菌から栄養素を得る
生物学で言う寄生と何となく似ているが、ちょっと違うようだ。
水族館で見る発酵する海月の意味もわかった
背中に浴びる光と同じくらいの光を腹から発し、その姿を見えにくくするためだそうだ
他にもたくさんの深海の興味深い話しが書いてあった。
2部の地震の話しは、知っている知識を専門用語で解説されたような印象しか感じなかった。
読みにくい。少し困惑した。
東北の地震の後に、深海を調査した話しが後半あり
これは、おもしろく楽しめた。
日本海海溝の近くは堆積物が柔らかいのでズレが生じにくいと思われていた。
しかし、探査の結果、そうでないことがわかったのだという。
一度ズレると大きくズレることになり、それがあの津波になったとのことだった。
地震は、プレートの移動(ズレ)が原因だが、普段は意識していないが、地面の底にマントルがあり
それがプレートを少しずつ移動させているというのを再認識させられる
地球も生きているのだとわかる
3部のその他のところでは、地下資源の話しが興味深かった。
二酸化炭素は、1/2がそのままで、残りが森林と海に吸収される。
海に、吸収されると二酸化炭素は、PHを下げてしまうため、石灰化生物の貝とか蟹の甲羅のある生き物の石灰でで来ている部分が形成されなくなる
昔、火山が爆発していて時期には、これらの生物が激減したこともあり
このままじゃ、そういうことになりかねないという懸念を表明していた
深海に、鉱床があるのは沸点の違いかららしい
水は100度で沸騰するが、深海だと気圧が違い300度くらいになる
そのため、そのような物質が残っているのだ。例えば、メタンハイドレートとか。
二酸化炭素を深海の中で液体として安定させることが可能で、そういうことも始まっているという話しは面白かった。じゃ、どんどん二酸化炭素は深海に移そうとか思うのである。
それにしても深海には、たくさんの資源がある。
プラスチックごみが、たくさん海にあるという話しには驚いた。
2050年には、海のプラスチックの総量は、海に住む魚の総重量を超えるという予測がされているらしい。
深刻なのは、マイクロプラスチックで、これは魚なのが体内に取り込んでしまい
その魚を人が食べると悪影響があるかもという懸念だった。
深海は、別世界という認識が、この本を読むと自分たちの世界と繋がっていると認識に変わる。
不思議な深海のメカニズムに触れ、地球というものの見方が少しだけ変化した。
内容は少し専門的で難解だが、書かれている話しはとても面白い
理系の人は楽しめると思います。
おすすめです。
☆☆☆☆☆ の とても楽しく内容のある作品でした。