原爆の被害の真相はWilfred Burchettが45年9月に発表したものの,それを打ち消す形でハーバード大学のJames B. Conantの主導のもとにAtomic Billと呼ばれたニューヨークタイムズの記者William Laurenceの提灯記事,MIT学長の論文や戦争長官だったHenr...続きを読むy Stimsonの論文で,放射能が発生しないので通常兵器のでかいものだといういわゆる原爆神話が作られた過程を詳細に記載した好著だ.さらに「The Beginning or the End」と題された映画でアメリカ国民に捏造した情報を提供している.よく出てくる原爆で"100万人のアメリカ兵の命が救われた"という説も,casualitiesという語が使われており,通常は2割が戦死者だとされているので,正確には20万人になる.うまいごまかし方を地で言った表現だ.46年6月の戦略爆撃調査では,原爆を落とさずとも日本は通常兵器と海上封鎖で11月には降伏するだろうと米国自体が断定している.それにしても,威力もさることながら放射能の影響を知っていた科学者たちの意見は,政府の巧妙なプロパガンダの中に埋没したようだ.怖い話だ.