作品一覧

  • 松田正隆Ⅰ 夏の砂の上/坂の上の家/蝶のやうな私の郷愁
    3.0
    日常の裂け目や静かな台詞の行間から、心の渇き、生と死、都市の記憶が滲みだす。長崎を舞台にした、作家の初期代表作を収録。
  • 喜劇 ほらんばか
    完結
    -
    1967年に秋浜氏自身の作・演出により第1回紀伊國屋演劇賞を受賞した記念作! 東北地方のある寒村。春になるとほらんばか(ほら事語り)になってしまう工藤充年(くどうじゅうねん)が廃屋となった牛舎の前で、白樺の木の間をわきめもふらず、往復している。工藤は、昔、仲間と集団農場を経営していて、不在の間に牛をすべて伝染病で死なせたことで、ほらんばかになってしまった。野間さち、なちの姉妹が、今年の春もほらんばかになっているのか確かめにやって来る。工藤とさちは愛し合っているが、工藤がほらんばかのために結婚できない関係。東北弁で繰り広げられるユーモラスで、はかなくもせつない物語。 【著者】 秋浜悟史 1934年、岩手県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、岩波映画製作所を経て、1962年に劇団三十人会代表となる。1967年「ほらんばか」の作・演出で、第1回紀伊國屋演劇賞受賞。1969年「幼児たちの後の祭り」で第14回岸田戯曲賞受賞。元大阪芸術大学大学院教授。前宝塚北高等学校演劇科長。前ピッコロ劇団代表。前ピッコロ演劇学校参与。2005年逝去。

ユーザーレビュー

  • 松田正隆Ⅰ 夏の砂の上/坂の上の家/蝶のやうな私の郷愁

    Posted by ブクログ

     3編の戯曲が収録されている。
     造船所の下請け会社の職を失い、妻とも別居している治と、一時預かって欲しいと頼まれた姪の優子とのひと夏の共同生活を描いた『夏の砂の上』。失業しても、妻に去られても、料理屋の仕事で指を失っても、表面的には淡々としている治。奔放な母に育てられ、思春期の難しい時期にある優子。特別にドラマティックな出来事こそ起こらないが、二人それぞれの思いや感情が、本当に日常普通の会話、平凡過ぎる会話のやり取りの中から浮かび上がってくる。作者の出身地である長崎弁と、標準語の台詞の対照の妙がまたいい。
     2022年11月の舞台上演を見た後で本書を読んだのだが、読みながら、あのときの一つひ

    0
    2024年09月17日

新規会員限定 70%OFFクーポンプレゼント!