【感想・ネタバレ】松田正隆Ⅰ 夏の砂の上/坂の上の家/蝶のやうな私の郷愁のレビュー

あらすじ

日常の裂け目や静かな台詞の行間から、心の渇き、生と死、都市の記憶が滲みだす。長崎を舞台にした、作家の初期代表作を収録。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

 3編の戯曲が収録されている。
 造船所の下請け会社の職を失い、妻とも別居している治と、一時預かって欲しいと頼まれた姪の優子とのひと夏の共同生活を描いた『夏の砂の上』。失業しても、妻に去られても、料理屋の仕事で指を失っても、表面的には淡々としている治。奔放な母に育てられ、思春期の難しい時期にある優子。特別にドラマティックな出来事こそ起こらないが、二人それぞれの思いや感情が、本当に日常普通の会話、平凡過ぎる会話のやり取りの中から浮かび上がってくる。作者の出身地である長崎弁と、標準語の台詞の対照の妙がまたいい。
 2022年11月の舞台上演を見た後で本書を読んだのだが、読みながら、あのときの一つひとつの台詞の抑揚やリズム、間合いなどが思い浮かんできた。

0
2024年09月17日

「雑学・エンタメ」ランキング