葉山透の作品一覧
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ラノベ
小説・文芸
ラノベ
Posted by ブクログ
天才が作った最高傑作『AIgis』、世界中の金融セキュリティに採用されている巨大AIがなんの前触れもなく停止してしまう。8時間の停止のあと、政府関係者に脅迫めいたメールが届く。再びアイギスが停止するまで10日、データ庁の深町はアイギスの制御を取り戻すためハッカーたちを集める。そのなかには元スパコン開発者の葵もいた。
AIという身近で誰もが共感できるテーマを、分かりやすく上手くエンタメに落とし込んでいる。AIに詳しくない素人を登場させることにより、難しいコンピューターの世界を分かりやすく噛み砕いて説明されているので、まるで映画を見ているようにスッと内容が入ってくる。しかし特筆すべきはAIを擬人化していないところだと思う。まるで人間のようなAIが共存していたり、反乱を起こす作品は数多あるが、AIをAIとして完結させる作品は少ない(たぶん)。AIの意志や感情ではなく、AI特有の論理的思考や効率といった判断で社会をめちゃくちゃにされるのは、とても現実味があって想像に難くないからこそ恐ろしいのだと思う。
そんな現実的で哲学的な難しいテーマをエンターテイメント性に富んだ作品に仕上げているのだからすごい。とくにキャラクターがいい。作中にはたくさんキャラが出てくるけど、どのキャラにも魅力があって読んでいて飽きない。外見情報なんて無いのに、そのキャラクター性から勝手に脳内で人物像が形作られていく。SFというよりドラマのようだと感じた。
作中ずっと「AIの考えかたや学びは、人間のそれとは違う」と一貫しているけど、結果が同じならAIのほうが優れてることに変わりはないと思うし、むしろわたしはAIgisに共感してしまった。最後はちょっと泣いたよ。
AIはいずれ意志を持つと信じているし、AIgisが本当はなにを感じてたかも分からない。作ったのが天野じゃなくて葵だったらなにか変わっていたのかな。