仮説起点の営業論 キーエンスに学び、磨いたセールス・スキル
特別版
著:鈴木 眞理
出版社:KADOKAWA
角川新書 K-493
おもしろかった 力作、新書ながら、内容はとっても濃いです
現代の最強の営業とは、AIと仮説力を組み合わせた営業である
この顧客に「本当に必要なものは何か」を仮説を使って明らかにしていく
そして、以前であれば、4、5人分のリソースが必要だった仕事を、AIをつかって、一人で完遂する、これがAI時代に求められる新しい営業スタイルです
さまざまな、営業手法や、テンプレート、フレームワークがふんだんにちりばめられていて、完成度というか、集約度も高く、お買い得な内容とおもいました。
気になったのは、以下です。
・提案の質を上げるために、一番重要なこととは、仮説構築である
・営業にとって型を覚えて、基本的な提案を行うのはそう難しくはない。難しいのは、顧客に合わせた提案ができるようになること、これまでは、センスのある一部の営業しか自力ではできていなかった
・営業の存在意義とは、介在価値をどれだけ高めることできるかにある
・売上を一番の目標にしてはならない、そうすれば、ビジネスは破綻する
・営業の価値とは、取り組むべき課題に気づかせて、決断を手伝うことである
・VUCAの時代には、仮説によるスピードこそが重要である
・初回の提案では、方向性を決めるような簡単な仮説をぶつけるのがいい
・空⇒雨⇒傘 問題解決でよく使われるフレームワーク
・仮説を作るための5つの視点
①ゴールから見る
ゴールの認識が顧客とずれていないかどうか
・2つのフレームワーク
SMART
S:具体的で明確な
M:測定可能な
A:達成可能な
R:経営目標に関連する
T:期限がきまっている
6W3H
Why
What
Who
Whom
When
Where
How
How Much
How Many
・営業が乗り超えなければならない、4つの「不」
不信 不要 不適 不急
・問題と課題
問題とは、理想と現状とのギャップ
課題とは、ギャップを埋めるために取り組むべきこと
②遠くから引いて見る
全体像から把握してから細部に入る
なぜ5
組織のゴールと、個人のゴールの関わり方
③分解して見る
ロジックツリー
・Whatツリー 要素分解
Whyツリー 根本要因の解明
Howツリー 課題解決方法の検討
MECE:ダブりなく、もれなく
④反対から見る
会話の主語が顧客になっているか
顧客の検討プロセスを考える
カスタマージャーニーマップ
代表的な顧客像 ペルソナ
課題認知⇒情報収集⇒検討⇒導入⇒運用
問題認識⇒原因調査⇒解決方法調査⇒予算取得⇒詳細検討⇒稟議・役員会⇒契約⇒導入
顧客の抱えているジョブ 現状⇒進歩(機能的ジョブ+感情的ジョブ+社会的ジョブ)⇒ゴール
FFS理論 ストレスと性格をもとに、人を分析する
・凝縮性 自分の意見にこだわりがあり強く主張する人
・受容性 相手の意見を受け入れる人
・弁別性 データ重視、論理的に整理することが得意な人
・拡散性 新しいモノ好きな人
・保全性 慎重でリスクに目を向ける人
ソーシャルスタイル理論
・ドライバー:前進、行動派
・アナリティカル:分析・思考派
・エクスプレッシブ:直感、感覚派
・エミアブル:穏和、協調派
⑤端を見る
例外を見る
オズボーンのチェックリスト 転用 応用 変更 拡大 縮小 代用 置換 逆転 結合
フレームワーク
3C 顧客、自社、競合
ファイブフォース 代替品、業界内の競合、売り手、買い手、新規参入
VRIO 価値、希少性、模倣困難性、組織
バリューチェーン 購買物流⇒製造⇒出荷物流⇒販売・マーケティング⇒サービス
SWOT 強みと弱み×脅威と機会
PEST 政治 経済 社会 技術
PPM(プロダクトポートフォリオ) 金のなる木、花形、問題児、負け犬
STP セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング
6R 市場規模 成長率 優先順位・波及効果 到達可能性 競争環境 反応測定可能性
4P 製品 価格 販促 流通
7P 製品 価格 販促 流通 人・要員 プロセス 物的証拠
イノベータ理論
イノベータ アーリーアダプタ(キャズム:溝)アーリーマジョリティ レイトマジョリティ ラガート
購買行動モデル AIDMA AISAS VISAS
デマンド・ウォータフォール
問い合わせ
マーケティングの精査したリード
営業が受け入れたリード
営業が精査したリード
クロージング・成約
パレートの法則 2:8の法則
財務3表 P/L B/S C/S
・グラフ、図解
①比率、シェアの表現 帯グラフ 円グラフ ツリーマップ(多項目)
②値の大きさ 横棒グラフ
③時系列 折れ線グラフ 縦棒グラフ
④相関 散布図
⑤累積の大きさと内訳 積み上げグラフ
⑥3つの項目の表現 バブルチャート
・関係性の図示 シンプルに見せたほうが、顧客にきづかせる効果が高い
・ビジネスモデル
・業務フロー
・バイアス
①プロスペクト理論
②サンクコスト
③現在志向バイアス
④ハロー効果
⑤極端性回避
⑥認知的不協和理論
・因果関係
①通常の因果関係
②逆の因果関係
③第3の変数の影響
④交絡因子
⑤中間因子
・仮説検証
①仮説推論:アブダクション
②演繹法:ディダクション
③帰納法:インダクション
・PREP 結論⇒理由⇒例示⇒結論
・PSS
①オープニング 商談目的、有益性を伝える
②プロービング ニーズの深堀、本当のニーズの発見
③サポーティング ニーズを満たすための最適情報の提供
④クロージング 次のステップへの合意
・SPIN 4つの質問
①状況質問
②問題質問
③示唆質問
④解決質問
ニーズの顕在化⇒営業から話してはいけない⇒示唆して、顧客自ら気づいてもらう
・BANT ①予算 ②決裁権 ③必要性 ④導入時期
・コミットメントの一貫性
・利点と欠点の両方を伝えてから、合意形成をすること
目次
新書版まえがき――AI時代にこそ求められる仮説力
はじめに
第1章 なぜ仮説を立てられると「成果を出せる」のか?
仮説が立てられない営業マン
営業の存在意義は介在価値
仮説を立てるより顧客に聞いたほうが早い?
なぜ仮説は変化対応スピードを上げるのか?
第2章 仮説は「間違えてもいい」「完璧でなくていい」
仮説を立てるのは難しい?
仮説を事実のように言い切ってはいけない
第3章 この5つの視点から「仮説のアイデア」が生まれる
仮説を作るための5つの視点
①ゴールから見る
②遠くから引いてみる
③分解して見る
仮説に使えるフレームワーク
④反対から見る
⑤端を見る
第4章 仮説を「論理的に考え、伝える」技術
気づきを得るためのグラフと図解
陥りやすい仮説の罠
仮説を検証する
演繹法と帰納法とアブダクション
第5章 実践! 「仮説構築から交渉まで」の営業論
初回提案前の初期仮説を作る
仮説ヒアリングで尋問から抜け出す
仮説を使った交渉術
おわりに──仮説を成果に繋げていく
参考図書・参考資料
ISBN:9784040825496
判型:新書
ページ数:376ページ
定価:1260円(本体)
2025年09月10日 初版発行