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ユーザーレビュー

  • 私はガス室の「特殊任務」をしていた 知られざるアウシュヴィッツの悪夢

    Posted by ブクログ

    どうしても強制収容所跡地が見たくなって、学生時代にドイツを訪れたことがある。何故かアウシュビッツにこだわって結果諦めざるを得なかったのだが、旅程の関係でダッハウへ行った。アウシュビッツにこだわったのは、そこが有名でアイコン的だったからだと今になって思う。両収容所におけるガスによる大量虐殺の違いや収容者の違いを当時は知らなかったから。世間知らずで、希望が叶わず残念に感じながらもダッハウも強烈な悲劇を残していて、それで胸がいっぱいになった。その夜、現地で知り合った友とドイツの酒場に入り、ドイツ人と日本人が生まれながらに抱える宿痾のような定めを考えた。

    本書は、アウシュビッツで生き残った著者による

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    2024年10月21日
  • 私はガス室の「特殊任務」をしていた 知られざるアウシュヴィッツの悪夢

    Posted by ブクログ

    ユダヤ人をガス室に送り、処刑された後ガス室から折り重なり皮膚がドロドロに溶けた遺体を外に運び出し、その遺体の髪を切り、銀歯金歯を引き抜き、焼却場で焼き、遺灰を川に捨て、ガス室を綺麗に清掃する、そんな任務を負っていたのが「特殊任務部隊」で同じ強制収容されたユダヤ人で構成されていた。そしてその任務内容が外に漏れないように部隊の者も定期的に処刑されていた。しかしながら奇跡的に生き逃れたシュロモ・ヴェネツィアがその壮絶な内容を赤裸々に語っているのが本書だ。彼が重い口を開いたのは解放から47年後で69歳だった。

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    2022年08月27日
  • 私はガス室の「特殊任務」をしていた 知られざるアウシュヴィッツの悪夢

    Posted by ブクログ

    『夜と霧』が意識して客観的に書かれていたのに対し、本書はインタビュー形式ということもありかなり主観的な話を聞くことができます。

    アウシュビッツの中でも、ガス室や焼却炉という特殊任務に当たっていたゾンダーコマンドの経験です。基本的にこの作業に当たった収容者は秘密保持のために処分されたため、かなり貴重です。

    印象的なのは、解放後に人に話をすると頭がおかしいと思われて信じて貰えなかったという点です。
    この経験を語ろうとするまでに40年以上かかったそうです。
    あんまりにも酷い出来事は、信じないことでなかったことにしたいのかもしれません。

    勇気をもって告白してくれて有り難いです。
    大切に読むべき本

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    2021年06月25日
  • 私はガス室の「特殊任務」をしていた 知られざるアウシュヴィッツの悪夢

    Posted by ブクログ

    ネタバレ


    十二時間労働の二交代制で強制的にやらされた「汚い仕事」の流れ作業は、脱衣室で犠牲者につきそって、待ち受ける悲惨な運命を感づかれないようにできるだけ早く服を脱ぐ助けをし、SSが犠牲者をガスで殺しているあいだに彼らの衣類を集め、ガス室から遺体を出し、義歯と金歯を抜き、女性の髪を切り、これらの遺体を焼却炉または野外の共同墓穴で焼き、遺骨を砕いて遺灰をヴィスワ川に捨て、ガス室を掃除して壁を石灰で白くし、次の「処理」に備えることだった。
    歴史のノート より


    『サウルの息子』でゾンダーコマンドの存在を知ったのは数年前。それ以外にはBBCの数時間くらいのドキュメンタリーシリーズを視聴していましたが、書

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    2020年11月02日
  • 私はガス室の「特殊任務」をしていた 知られざるアウシュヴィッツの悪夢

    Posted by ブクログ

     衝撃の内容。これがこのまま事実であるならば。
     この本を心で深く読み込んだ読者であれば、一度、強制収容所跡を訪ねてみることを強く薦める。10年以上前になるが、ベルゲン・ベルゼン、ダッハウ、テレジンを訪れたことがある。その記憶を重ね合わせてこれを読み通した。
     殺されたユダヤ人も、加担させられたユダヤ人も、殺したドイツ人も、どこまでもいけば最後は孤独なひとりだ。結局、ここで行われた残虐だとされることも、その孤独なところにおいては誰しもが真の残虐なひとりになる。人はそういうものかもしれない。

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    2018年04月29日

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