質問の重要性、もつべき基本的な視点と背景、ビジネス上での質問の方法や技術の訓練の仕方、人生における「美しい質問」とのつきあい方や心構えについて書かれた本。
特に印象的だったのは、子どもの頃は「なぜ?どうして?」と質問するのに、6才以降は学校や社会において質問が受容されない雰囲気を察して皆、質問しな
...続きを読むくなるということ。これはアメリカでの話であって、日本はさらに質問できない風潮が強いはずなのでもっと事態は深刻なのではないかと感じた。自分自身も会議や研究会で「質問はありませんか?」と聞かれて、質問できないタチなので、この本に書かれているさまざまなな事例のように、もっとその場が有意義なものになるような質問をしてみたいと感じた。
「なぜ?」が質問する上でよく使われる形式だが、「もし〜だったら?」という問いの形式も多く紹介されている。あまり慣れていない形式で実際に問われたらドキッとしそうだが、いつもと違う考え方で物事を見つめられそう。
この本で言われている「質問」の仕方とは、単なるハウツーではなくて、「生き方」そのものだということが最終章を読んで分かった。人生において「美しい質問」を生み出し、自問自答し続けることが、その人の人生を豊かにする。キャリアについて、生き方について、スルーするのではなく、さまざまな角度から自らに問い続けることによって今までにない境地にたどり着けるかもしれない。
「学校教育では、たった一つの正解を見つける方法ばかり教えられる」などの指摘には耳が痛い。ペンキの蓋を開けて、さらに中をぐるぐるかき混ぜる、つまり、生徒の「当たり前」をオープンにして、思考を回転させられるような「美しい質問」ができるようになりたい、と思わせてくれる1冊。
『問いのデザイン』『たった一つを変えるだけ』などと併せて読むことで問いについて、より多面的に考えられそうな内容だった。