山岡由美の作品一覧
「山岡由美」の「アメリカ経済 成長の終焉」「穀物の世界史 小麦をめぐる大国の興亡」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
【アメリカ経済 成長の終焉】
まず最初に、めちゃくちゃ面白かった。150年の経済を俯瞰すると見えてくる物語。以下、ただのまとめになっちゃったけど、そのコンセプトが一番面白い。
生活水準を測る上で取り込みやすい一人あたり実質GDPは、イノベーションとそれに続く改善の影響を捉えられていない。なざなら、それは市場で取引される財産だから。生活の質の向上、例えば白熱電球が灯ること、内燃機関で移動が可能になることの変化は、実質GDPでは説明できない。
一方で、経済史を俯瞰する上で、同じレベルで示せる指標はない。そこで、イノベーションの影響を生産性の上昇も含めて考慮した成長は、どのような結果になるのか。
エジソンの白熱電球とベンツの内燃機関に代表される第二次産業革命とそれに続く改善が第一次(蒸気)、第三次(ICT)と比較して特異なのは、その影響先が人間の衣食住あらゆるものに波及したこと。電気を扱えるようになり、移動によりネットワークが形成されたことで、生活水準が大きく向上した。
この観点からすると、第三次産業革命の波及範囲は通信・娯楽分野に集中しているため、生活水準向上への影響は相対的に小さくなる。今後も生活水準を今以上に向上させるイノベーションは見込めないことから、過去のような高い成長は見込めないため「Fall of growth」となる。
これからの先端技術では革命的に生活水準が向上することは起こんないんだなと、冷静に見る事ができるようになったように思う。
Posted by ブクログ
科挙、専制、安定性、科学技術=EAST この4つの視点とスケールとスコープの観点から中華圏を理解できる。
スケール(統一=安定の条件)とスコープ(多様性=革新の前提)のバランス
インドは選挙がスケール化の道具。アメリカも多様なスコープが存在するが、選挙でスケールを維持している。
広大な支配領域を統治するには、スコープの最小化とスケールの最大化が必要。これが過去も現在も中国が抱える問題。
科挙は、スコープを縮小して、スケール化を可能する道具。科挙はだれにでも門戸を開き、国家の求める人材の登用を果たした。結果としてスケールに成功したが、代償として優秀な人材が、商業や独立した知的活動よりも国家に適応する道を選択した。
現代中国では科挙は存在しないが、GDPで測られる実績主義(メリトクラシー)を評価の指標とすることで、社会全体をスケール化している。地方分権と中央の統一性を組み合わせた形。
科挙による人材の国家による吸収が、国家を制約する勢力を制御し、専制が続いた。
改革開放期には、権力分散や政治的多様性が生まれたが、天安門事件で、歴史的な専制的構造への回帰が起こった。国家による資本主義の始まり。
中国の専制が安定しているのは、官僚制度へ人材が向かったことと、価値観の共有があったから。
ニーダム問題=中国は早くから科学技術の優位があったのに、なぜ産業革命が起きなかったか。科挙が始まった隋代から発明力が低下していた。スコープの縮小がもたらしたのではないか、という仮説を検証した。
現在の中国で科学技術が発展しているのは、スケールの優位性によるものではなく、海外のスコープの導入によるもの。海外留学や国際共同研究への参加、香港の法制度や金融制度の利用、などによる。
現代中国が抱える問題点は権力継承の危機。歴代王朝の長子相続を採用することは難しい。権力継承のための装置がない。後継者指名の失敗(毛沢東と劉少奇、鄧小平と胡耀邦)から国家主席の2期10年という任期を定めたが、習近平はこれを無視した。実質的には後継者指名の先送り。現職の指導者を強くする措置は、権力継承の装置を弱めている。
米中対立で、中国からのアメリカ留学はハードルが上がった。習近平政権が過去の成功モデルから逸脱して、制度的な組み合わせが変化しているのではないかつつあるのではないか。国家が社会の自律性を抑え込みすぎない関係が必要。
Posted by ブクログ
EAST =試験 専制 安定性 科学技術
秦 短命 スケールとスコープの複雑さ
科挙=官僚機構 →反対派が減少 政治的競争や領土競争も頓挫 →科学技術の遅れ
現在の中国 14億人の思想 価値観 行動の均質化 実績主義 ≠専制≠民主制
中国は政体を装った組織 共産党員9600万人 民間企業に党支部
中国 M型経済 事業部型・情報過多克服 地方自立 ソ連U型 機能的専門化・効率化
中央集権的人事システム GDP寄与度 階層化と手順 少ない規範
専制 組織宗教なし ブルジョア階層なし 大衆の高い識字率
新しい考えや自然現象の探求よりも儒書の吸収
紀元前のシステムの継続 レームダック
大きさがかかわるものへの優位性 AI は手作業と単純作業の上に成り立つ
規模の拡大 質 迅速さ 鉄道 健康コード 監視カメラ
共産党の安定=公理としての正当性と心理的服従
GDP目標より 腐敗の撲滅 成果から行動へ指標の変化 官僚の均質化
民間企業への弾圧 国家統制への脅威
後継者争い 軍事治安機関の介入 環境=経済成長鈍化
権利とは 中国:大多数の最大善 西洋:少数者の保護 自立性