盲導犬は、視覚障害の方をサポートする犬。これまで、何度か実際に見かけたことはあるが、その実情は全く知らなかった。
盲導犬はゴールデン、または、ラブラドール・レトリーバーの盲導犬血統を持った子犬を訓練する。生後数ヶ月になった頃、本格的な盲導犬としての訓練が開始される前に、「パピーウォーカー」と呼ばれる
...続きを読む家庭に預けられる。人間が信頼するに足る存在であることを理解してもらうためだ。
「パピーウォーカー」の家庭で何ヶ月かを過ごした盲導犬候補の犬は、本格的な訓練を開始する。訓練期間は、本書の主人公、クイールの場合、1.5年程度。その後、実際にサポートする相手との訓練を数週間積んだ上で、実際の盲導犬として活動することになる。
本書は、書名の通り、盲導犬のクイールの、生まれてから亡くなるまでの記録。文章と共に、多くのモノクロの写真によって、クイールの生涯を記録している。順風満帆ではない。色々なことがあり、じーんと来る物語だ。クイールが、健気。
「犬は働くことが好きでしょうがない。だから、盲導犬になる訓練も、使用者の言うことを忠実に守るのも犬にとっては楽しいことなんです。厳しい訓練を想像して犬がかわいそうと思われるかもしれませんが、実はそうじゃないんですよ」
盲導犬訓練士の方の言葉だ。
人間の眼からみると、盲導犬は、自らを犠牲にして飼い主のために尽くしているように思えるが、そうではないということを読んで、何となくほっとした。