作品一覧

  • ベネズエラ―溶解する民主主義、破綻する経済

    ベネズエラ―溶解する民主主義、破綻する経済

    ビジネス・実用

    4.3
    1巻2,200円 (税込)
    世界最大の石油埋蔵量を誇る産油国ベネズエラ。だが、戦争や自然災害とは無関係に経済が縮小を続けている。その間、治安は悪化、食料供給や医療制度も崩壊の危機にある。四〇〇万人以上が陸路国外に脱出し、シリアに次ぐ難民発生国となった。かつて二大政党制を長期間維持し「民主主義の模範」とされた同国に何が起こったのか――。本書は、チャベス大統領就任以降、権威主義体制に変容し、経済が破綻に向かう二〇年間の軌跡を描く。
  • ラテンアメリカと国際人権レジーム──先住民・移民・女性・高齢者の人権はいかに守られるのか?

    ラテンアメリカと国際人権レジーム──先住民・移民・女性・高齢者の人権はいかに守られるのか?

    ビジネス・実用

    -
    1巻2,970円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 国際人権レジームは,ラテンアメリカで最も保護を必要としている先住民,移民/難民,女性,高齢者などの社会的脆弱層のための法制度や機構の整備にどのような影響を与えているのか.政治学的マクロアプローチ,人類学・社会学的ミクロアプローチにより明らかにする.
  • 中国ショック 株・原油暴落

    中国ショック 株・原油暴落

    ビジネス・実用

    -
    1巻220円 (税込)
    中国経済の失速と原油価格の暴落で、世界同時不況の足音が聞こえ始めた。株式、為替市場は一気に不安定になり、オイルマネーの逆流は新興国を危機に陥れる。暗雲漂う世界経済の先行きを読む。  本書は週刊エコノミスト2015年9月8日号で掲載された特集「中国ショック 株・原油暴落」の記事を電子書籍にしたものです。 目 次: はじめに ・日米中の株安連鎖 緩和も財政も限界 ・2015年度末までの株価・為替の見通しは?    日本株    ドル・円相場    中国株 ・震源地・中国 悪化する「李克強指数」 深刻な地方住宅在庫の重荷 ・原油30ドル時代の幕開け 世界中でマネー逆流 ・アナリストが予想 どうなる原油価格    来春には35ドル割れも視野    低迷続き30~55ドルの範囲    10月以降は上昇に転じる ・原油がまだ下がる六つの理由 シェール生産コストは3割減    イラクは過去最高 イスラム国の進撃まぬがれる ・これからが本番! 米シェール企業とサウジの消耗戦 ・制裁解除のインパクト イラン輸出日量100万バレル増加  ・イラン進出企業が続々 欧州が先行、日本にもチャンス ・原油安の負け組    ロシア GDP4・6%減、インフレ率16%    ベネズエラ 生活困窮、デフォルトの危機    湾岸諸国 サウジは国債発行で穴埋め ・日本経済 GDPを0・1%押し上げ ・得する企業 運輸、タイヤなど 損する企業 石油元売りや商社 ・金、鉄、非鉄 軒並み下がった商品価格 ・穀物 大豊作でも下値余地少ない

ユーザーレビュー

  • ベネズエラ―溶解する民主主義、破綻する経済

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    民主主義は「選挙があるかどうか」だけでは測れない。
    ベネズエラの事例は、権力の集中と経済危機がいかに制度を内側から劣化させるかを示している。

    チャベス以前にも崩れ、チャベス以後にも崩れたという二重の転落。
    民主主義の質とは何かを考えたい人に勧めたい一冊。

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    2026年02月11日
  • ベネズエラ―溶解する民主主義、破綻する経済

    Posted by ブクログ

    本書を手に取ったきっかけは、ベネズエラ前大統領をめぐり米国が強硬な対応を取ったとの報道に接し、事態がどのような歴史的・政治的経緯のもとで生じたのかを理解したいと考えたからである。

    本書は、チャベス政権からマドゥロ政権に至る過程で、ベネズエラの民主主義がいかに形骸化し、経済がいかにして破綻へと向かったのかを、制度・政策・権力運営の観点から丹念に描いている。とりわけ印象的なのは、貧困層の救済を掲げる南米特有のポピュリズムが、当初は政治的正統性を獲得する原動力となりながら、政権の長期化とともに統治の質を急速に劣化させていく過程である。

    チャベスは選挙を通じて権力の座に就いたが、その後は権力の集中と延命が自己目的化し、反対派や批判的言論は制度的・非制度的に排除されていく。資源価格が高く、財政に余裕がある間は、分配政策によって国民の支持を維持できたが、経済が行き詰まると、警察や軍といった国家の強制装置への依存が強まっていった。この転換は、多くの権威主義体制に共通する現象でもある。

    さらに本書が踏み込んで描くのが、国家機能の崩壊と並行して進行する麻薬取引の国家的浸透である。正規の輸出産業が失われ、外貨獲得手段が枯渇する中で、麻薬経済が事実上の代替収入源として拡大し、治安組織や軍、政治エリートの一部がこれと結びついていく構造が生まれた。麻薬は単なる犯罪問題ではなく、国家を内側から腐食させ、法の支配を空洞化させる「影の国家経済」として機能してしまう。これはベネズエラ固有の問題というより、国家破綻が進む国々に共通する危険な兆候である。

    国際社会からの経済制裁が強化される中で、同じく権威主義体制を持つ中国やロシアが、戦略的利害のもとで関与を深めていく構図も、本書は冷静に描写している。ベネズエラは世界有数の石油埋蔵量を持ち、地政学的にも米国の影響圏に位置してきた。その利権が中国・ロシア陣営に完全に取り込まれる事態を、米国が座視しなかったことは、理想論ではなく国際政治の現実として理解できる。

    もっとも、外部からの強硬な介入が民主主義を回復させるかどうかについては、慎重な評価が必要だろう。手続きとしては問題を孕む側面がある一方、経済破綻と治安悪化、麻薬経済の蔓延に苦しんできた一般のベネズエラ国民が、政権の変化に一定の期待を寄せている現実もまた否定できない。

    本書は、民主主義が単なる選挙制度ではなく、権力の抑制、健全な経済基盤、そして犯罪経済を許さない国家能力によって支えられるものであることを、ベネズエラという痛切な事例を通して突きつけてくる。国際問題を考える上で、価値と現実、理想と権力の緊張関係を改めて認識させる一冊である。

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    2026年01月06日
  • ベネズエラ―溶解する民主主義、破綻する経済

    Posted by ブクログ

    石油の埋蔵量が世界一で、かつて南米の優等生と言われたベネズエラだが、今はインフレが13万パーセントに上るなど経済が破綻し、インフラは崩壊、国を脱出する難民が500万人を超える。なぜそうなってしまったのか。著者は、1999年からのチャベス政権とそれを引き継いだマドゥロ政権の政治を分析し、原因は大統領へ権力が集中してチェック機能が失われたからだと断じる。世界で権威主義的な政権が増え民主主義が弱体化している現在、そのことがもたらす地獄を先んじて伝える書である。

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    2021年04月29日
  • ベネズエラ―溶解する民主主義、破綻する経済

    Posted by ブクログ

    中南米いち豊かで民主主義の発達した国が、如何にして3年でGDPは半減し国民の1割が逃げ出す国になったか。分かり易く書かれているものの、構成にクセがちょっとある。
    読む前は「何故…?」だったものが「は???」になっていく。とはいえ財政政策とかあまり他人事ではない。なお一番「は???」となったのはこの本を読んでいる内にトランプが別の国の攻撃を始めたことだ

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    2026年03月06日
  • ベネズエラ―溶解する民主主義、破綻する経済

    Posted by ブクログ

     豊かな石油資源に恵まれ、ラテンアメリカにおいて最も安定した民主主義体制を誇ってきたベネズエラ。ところが2016年以降の3年間でGDPは半減、ハイパーインフレによって紙幣は紙くずとなり、飢える人びとは国外へ脱出。シリアに次ぐ世界第2の難民送り出し国になってしまった。
     国家の崩壊はいかにして起きたのか。日本のマスメディアが報道機関として満足な役割を果たしていないなか、アジ研の専門家による本書は実にありがたい。マドゥロ政権下で現出した危機が、それ以前のチャベス政権下において用意されたものであったことを、歴史、経済、政治、外交、社会など多角的側面から詳述している。
     1980年代までの石油利益の労使間配分および二大政党間の権力分有という安定した体制が行き詰まり、取り残されるインフォーマルセクター労働者層の不満が高まるなか、キューバの後ろ盾を得て1999年大統領選に勝利したチャベスは、大統領に権力を集中させる憲法改正を強引に実現。多数派支配による超法規的な政権運営は大規模な抵抗を招き、2002年にはいったん政権を追われるものの、反対派への露骨な脅迫と支持層への利益誘導を駆使して選挙戦に勝利し支配を固めてきた。その後を継いだマドゥロはカリスマ的人気を欠くだけに、いっそう暴力的手法に依存して反体制派を抑圧し政権維持に腐心することになった。
     では国家経済の破綻はいかにして起きたのか。公的支出の拡大による再分配そのものには、格差縮小や貧困緩和など一定の効果があったことは認められる。だが特に政権批判が高まって以降、公的支出は支持層をつなぎとめる道具としての性格を増し、政権による石油セクターや中央銀行への運営介入は、国際投資および生産性を引き下げる結果を招いた。さらに国際石油価格の上昇が下落に転じると、政権はキューバや中国への依存を高め、累積債務の支払いとともに政権支持をつなぎとめるためにいっそうカネをひきだすためのポケットとして石油資源をただ使いつぶすのみになる。
     その結果、チャベス政権における最良の果実であった社会開発さえもが後退に転じた。貧困層の生活改善プロジェクト「ミシオン」は石油資源を原資としていたがゆえに継続できなくなっただけでなく、党派性の道具となり腐敗の温床にもなった。社会格差の増大は、持てる層よりも防護手段をもたない貧困層を、暴力犯罪にさらされやすくしている。
     通商よりも豊富な自然資源を経済基盤としてきたことをはじめ、日本とはいろいろな面で違いが大きいため、安易に教訓をひきだすべきではないが、とはいえ、ベネズエラがたどった民主国家システムの崩壊を、日本ではありえないことと決めつけるべきでもなかろう。米国やグローバル資本を公然と批判するチャベスは、国際的な左派政権のリーダー視すらされてきた。しかしはっきりしているのは、左派/右派という単純な分類だけで理解することはできないということだ。
     著者が指摘するように、チャベスの掲げた「社会主義」は、石油資源をもとに生活財を国家が直接配分することを指しており、マルクス主義経済における生産手段の所有関係や、労働による利潤の分配を軸に据えたものではない。国家による再生産資源の配分は、党派性と強く結びつき、自らを慈父に位置付ける、家父長的ポピュリズムにもとづくものであった。権力の集中は、公平性や多様性にもとづく民主主義を犠牲にした、私利にもとづく政権維持のみを目的化することになった。
     このような政治はベネズエラに限られない。かつてクーデターに失敗したチャベスが、憲法と選挙という民主主義の装置によって民主主義を破壊したことは、著者が指摘するように、他の多くの国でも台頭している動向を反映しているといえる。腐敗の横行、司法と議会の軽視など、非民主的な民主主義のサインはここにも生まれていないか。堅固に見えたシステムがあっという間に崩壊しうることの歴史的証拠は、なにも他国に求めるまでもないのである。

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    2022年02月20日

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