太田創
一般社団法人日本つみたて投資協会・代表理事。
関西学院大学卒。1985年、三菱銀行(当時)入行。1988年より約10年間、英国およびブラジルで資金為替・デリバティブ等の運用、投資信託の管理業務に携わる。その後、2000年から2019年までシティグループ(米)、UBS(スイス)、フィデリティ(米)、GCIにおいて投資信託のマーケティング・商品企画を統括。2019年に一般社団法人日本つみたて投資協会を設立し、代表理事就任。投資信託をはじめとする金融商品のほか、海外での資金ディーラーとしての豊富な経験を活かし、市況や金融市場に関する幅広い著述、寄稿、講演を数多く手がける。本書は、自身が保有・研究してきた約1000本の投資信託の知見をまとめた1冊。著書に、『ETF投資入門』(日経BP社)などがある。
「「まえがき」でもお伝えいたしましたが、本書は 10 ~ 40年間という長期間つみたて投資をして、「ゴール」である約 3000万円の資産をつくるための 1冊です。 皆さんがゴールに向かう前に、「現在地」を知るための質問があります。」
—『毎月3万円で3000万円の「プライベート年金」をつくる 米国つみたて投資』太田創著
「でも、「貯金が少なくても、退職金があるから何とかなる」と思っていますか。 確かに退職金で賄うという方法もありますが、では一体いくらの退職金が私たちに支給されるのでしょうか。 2000万円ぐらい? 答えは、人によりけりです。 「2016年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果」という、日本経済団体連合会が行った調査結果によると、大学卒業者の場合、勤続年数 38年で、 60歳の時に受け取った退職金の平均額は 2374万 2000円でした。これだけあれば、 60代の貯蓄額が 601万円でも、退職金と合わせて約 3000万円の老後資金がつくれるから安心、でしょうか。」
—『毎月3万円で3000万円の「プライベート年金」をつくる 米国つみたて投資』太田創著
「待ってください。本当にあなたが勤めている会社で、 2000万円以上の退職金が支給されますか? そもそもこのデータは、日本経済団体連合会、つまり経団連加入企業が対象です。ようするにこれは大企業の平均値。 日本の場合、全体の 97%以上が中小企業と言われています。では、中小企業の場合、退職金はいくらになるのか。 東京都産業労働局労働相談情報センターが行っている「中小企業の賃金・退職金事情(平成 28年版)」によると、大学卒業者の平均額は 1128万 9000円でした。退職金の額は、企業規模によって大きく変わる傾向があるのです。 あなたの勤めている会社は、どちらですか? 大半の人にとって退職金の支給額は、 2000万円オーバーではなく、 1000万円前後と認識しておいた方が、後になって愕然とせずに済むでしょう。」
—『毎月3万円で3000万円の「プライベート年金」をつくる 米国つみたて投資』太田創著
「もっと希望のない話をすると、退職金の額は年々減る傾向にあります。これは、大企業ばかりの経団連加入企業でもそうです。経団連加入企業の平均退職金を時系列で見ると、 1992年の平均支給額は、大学卒業者の場合、 2637万 9000円でした。これが年々減少傾向をたどり、前述したように 2016年の数字は、 2374万 2000円。 24年間で 263万 7000円(約 10%)も減った計算になります。最近は退職金制度をなくして、毎月の給料に退職金分を込みにしているケースもありますから、 20年後、 30年後には、「退職金? なにそれ?」と思われるような時代がくるかも知れません。いずれにしても、退職金にはあまり過大な期待をしない方が良い、ということになります。」
—『毎月3万円で3000万円の「プライベート年金」をつくる 米国つみたて投資』太田創著
「もっと希望のない話をすると、退職金の額は年々減る傾向にあります。これは、大企業ばかりの経団連加入企業でもそうです。経団連加入企業の平均退職金を時系列で見ると、 1992年の平均支給額は、大学卒業者の場合、 2637万 9000円でした。これが年々減少傾向をたどり、前述したように 2016年の数字は、 2374万 2000円。 24年間で 263万 7000円(約 10%)も減った計算になります。最近は退職金制度をなくして、毎月の給料に退職金分を込みにしているケースもありますから、 20年後、 30年後には、「退職金? なにそれ?」と思われるような時代がくるかも知れません。いずれにしても、退職金にはあまり過大な期待をしない方が良い、ということになります。」
—『毎月3万円で3000万円の「プライベート年金」をつくる 米国つみたて投資』太田創著
「それと前後して、親の介護という問題にも直面します(私も自分には関係ないことと思っていましたが、最近、実父と義理の父が要介護となりました)。もちろん、親が自分のための老後資金を潤沢に持っていれば、少なくとも経済的な危機は回避できますが、持っていない場合は、子どもが親の面倒を見なければなりません(老人ホーム・介護施設には月額十万円程度から私設のサービスであれば数十万円かかります)。」
—『毎月3万円で3000万円の「プライベート年金」をつくる 米国つみたて投資』太田創著
「 前述したように、 50代の無貯蓄世帯は 31・ 8%にも達しますが、もし本当に資産がない状態で定年を迎えたら、下手をすれば生活保護を受けることにもなりかねません。 もちろん、「それも人生だ」と割り切れる人は、それでも良いのですが、大半の人は、できればそのような状況を避けたいと願うもの。だからこそ、定年を迎えるまでに、ある程度の資産を望むのです。」
—『毎月3万円で3000万円の「プライベート年金」をつくる 米国つみたて投資』太田創著
「老後資金の問題は、 30代になっても、どうしてもイメージがしにくく、そのため後回しにしてしまいがちです。私自身、老後のことを自分の身に置き換えて考えられるようになったのは、 50歳前後になってからのことです。確かに、 30代で自分の老後について真剣に考えるのは、あまりにも先のことで、実感できないでしょう。 でも、資産形成は早めにスタートさせるに越したことはありません。なぜなら、早いうちから始めるほど、負担が軽くなるから。これは時間を味方につけることができるからです。たとえば、 50歳になってから、 65歳までの 15年間で 3000万円を貯めろと言われても、あまりにも目標値が高すぎて、サジを投げたくなるはずです。」
—『毎月3万円で3000万円の「プライベート年金」をつくる 米国つみたて投資』太田創著
「前述したように、一般的に老後の生活で最低必要とされるお金は、月々 22万円ですから、ぎりぎりの生活で良いのであれば、公的年金の範囲内で何とか生活できるかも知れません。でも、ゆとりある生活をしようと思ったら、自助努力によって、ある程度の資産を築く必要があるのです。 さらにいえば、大家族の生活がほぼなくなり、核家族化(「夫婦のみ」「夫婦と未婚の子ども」「父親または母親とその未婚の子ども」の世帯を指す)が進んだ現代社会においては、自分の老後の面倒を、子どもに見てもらうことが難しくなります。まさに、自分の面倒は自分で見なければなりません。だとしたら、自分が高齢になり、日常生活に支障を来すようになった時、しかるべき施設に入居することも想定されます。それにはお金が必要ですから、公的年金だけでなんとかやりくりしようとしても、いずれ無理が訪れます。ですから、ある程度のお金は、現役時代につくっておく必要があるのです。」
—『毎月3万円で3000万円の「プライベート年金」をつくる 米国つみたて投資』太田創著
「「いやいや、 3900万円は絶対に貯まらない」という方もいらっしゃるでしょう。 でも、よく考えてみてください。確かに 3900万円を、ゼロからつくるのは大変かも知れませんが、幾ばくかでも退職金が得られるとしたらどうでしょうか。こちらで述べたように退職金の額を保守的に見積もり、その額が 900万円だとしたら、自助努力でつくらなければならないお金は 3000万円まで圧縮できます。 35歳で資産形成を始めたとして、定年を迎える 65歳までの時間は 30年間。 30年で 3000万円の資産を築くことができるのかどうかを、これから検証していきます。 ちなみに、この目標を達成するために預貯金のみしか使わなかったとしたら、そして、預貯金の適用利率が今の年 0・ 01%のまま続くと仮定すると、 30年間で 3000万円をつくるためには、毎月 8万 3000円という決して少なくない金額を積立に振り向けなければなりません(ちなみに 15年後に 3000万円をつくろうとしたら、月々の積立額は 16万 7000円になります)。」
—『毎月3万円で3000万円の「プライベート年金」をつくる 米国つみたて投資』太田創著
「もちろん、本当にお金持ちで、実際に数千万円のお金を持っている若い方も、当然ですがいらっしゃいます。でも、これまで述べてきたように大半の 30歳前後の方は、結婚、出産、持ち家購入など、何かと物入りなライフイベントが次から次にあって、なかなかまとまった資金がないという方が多いのではないでしょうか。そういう普通の会社勤めの方にとって最適なのが、毎月一定額を投資に回す「積立投資」です。」
—『毎月3万円で3000万円の「プライベート年金」をつくる 米国つみたて投資』太田創著
「長期積立投資とは、それこそ 20年、 30年という長い時間を掛けて資産を積み上げていくことを意味します。第 2章でも触れますが、米国株式は長期間、保有することによって、収益がプラスになる可能性が高まります。それは、ニューヨーク・ダウが、算出を開始して 100年以上が経過しているにもかかわらず、幾度となく調整局面を経て、いまだに過去最高値を更新し続けていることからも、お分かりいただけるでしょう。今後も、米国経済は長期的に成長するという前提条件が崩れない限り、長期的なスタンスで米国株式市場に投資すれば、報われる可能性が高いと考えられます。」
—『毎月3万円で3000万円の「プライベート年金」をつくる 米国つみたて投資』太田創著
「かつては、「長期で投資するなら新興国の株式市場が良い」と言われた時期もありました。 BRICsなどという言葉が話題になった頃の話です。ちなみに BRICsとはブラジル( B)、ロシア( R)、インド( I)、中国( C)の 4カ国を指しており、 2001年にゴールドマンサックスが発表したレポートで用いられた言葉です。 それに呼応するかのように、 VISTA(ベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチン)、ネクスト 11(ベトナム、フィリピン、インドネシア、韓国、パキスタン、バングラデシュ、イラン、ナイジェリア、エジプト、トルコ、メキシコ)、 MENA(中東・北アフリカ)なども登場し、新興国が先進国を追い抜き、世界経済をけん引するといったイメージが、頻繁に語られました。」
—『毎月3万円で3000万円の「プライベート年金」をつくる 米国つみたて投資』太田創著
「「米国の強さ」のもうひとつは、間違いなく経済力です。これまた世界最強の軍事力、政治力に支えられ、米国は世界のリーダーとして比類なき強さを維持しているわけですが、その経済力の強さを象徴するのが、株式市場の規模です。」
—『毎月3万円で3000万円の「プライベート年金」をつくる 米国つみたて投資』太田創著
「もう圧倒的に米国のシェアが大きいのです。これを見ただけでも、米国が資本主義国のなかで非常に強い力を持っていることがお分かりいただけるでしょう。つまり米国の株式市場に投資すれば、世界の株式市場の半分に投資しているのと同じことになるのです。」
—『毎月3万円で3000万円の「プライベート年金」をつくる 米国つみたて投資』太田創著
「ただし、 60歳までのように積み立てながら運用して増やすというスタイルではなく、積み立てたお金を取り崩しながら、残金を運用し続けるというスタイルになります。もちろん、 60歳以降もバリバリ働ける場所と体力、健康があって、収入があるという方は、仕事を辞めるまで積立投資を続けられると思いますし、その方が、リタイア後の生活資金ははるかに豊かになるのは言うまでもないのですが、ここでは 60歳時点で 3000万円の資金ができて、そのまま働かずに生活することを前提にしておきましょう。 60歳の時点で 3000万円。この金額は、純粋に若い頃からの積立投資によって得られたお金です。この 3000万円を年 6%で運用し、男性の平均寿命である 81・ 09歳までの約 21年間、取り崩して受け取り、 81歳の時には 0円になると考えた場合、毎月いくら取り崩せるのかというと、 20・ 7万円になります。」
—『毎月3万円で3000万円の「プライベート年金」をつくる 米国つみたて投資』太田創著