しおんの作品一覧
「しおん」の「サクチシノニエ」「さようなら、私たちに優しくなかった、すべての人々」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
一冊完結。
とても下劣で暴力的な描写。 人間を壊す過程、壊された人間が追い詰められていく心理。醜さの極致を体現した登場人物達。そいつらが君臨して善良な者をなぶり殺す田舎。
そんな読むに耐えないシーンで進む本作、胸くそ悪いの言葉がピッタリで評価1にする気も起きましたが、それほど衝撃を与えるライトノベルも無いもんだと思い最高評価です。
民俗学、宗教、教育、精神医学の知識を織り混ぜた衝撃の復讐ライトノベル、読めば嫌な気分になること請け合います。
それでもクズ共がクズのように死体になるところに爽快感を感じたいならどうぞ。でもそしたら読む側の人間性にも問題が、それを行間から作者さんが観察してるのでは…
いじめ、いや暴行のシーンの壮絶さ、殺害シーンの冷酷さと主人公二人がイチャラブするシーンの落差が凄い。結末は倫理的に炎上ポイントがある。あれは救いですか?
Posted by ブクログ
『パルパネルは再び世界を救えるのか』は、「世界を救った後」という物語が往々にして語り落としてきた領域に、真正面から踏み込んだ一作である。英雄譚の終幕ではなく、その“余白”にこそ物語の核心があるのだと、静かに、しかし確固たる筆致で示してくる。
かつて世界を救った英雄パルパネルは、不老不死という祝福とも呪いともつかぬ運命を背負い、喧騒から距離を置いた日々を送っている。その姿は、華々しい戦果とは対照的にあまりにも穏やかで、どこか影を帯びている。しかしこの静けさこそが、本作の最大の魅力だ。世界を救った後も人生は続き、時間は等しく流れ、選択の重みは決して消えない。その当たり前で残酷な真実が、淡々とした日常描写の中から滲み出てくる。
重層的な世界観と、どこか寓話的な登場人物たちは、軽妙さの裏に確かな思想を宿している。ユーモラスな会話や風変わりな存在たちに笑みを浮かべながらも、読者は次第に「英雄とは何か」「救済とは誰のためのものか」という問いへと導かれていく。その問いは決して声高ではなく、静かに、しかし逃げ場なく胸に残る。
また本作は、再び世界を救うか否かという二元論に安易に答えを出さない。救うことの意味、関わり続けることの覚悟、そして何もしない選択の重さ――それらが丁寧に積み重ねられ、物語に確かな奥行きを与えている。派手な展開に頼らず、人物の在り方そのものを描くことで、ファンタジーでありながら極めて人間的な読後感をもたらす。
読み終えた後、胸に残るのは爽快感ではなく、静かな余韻だ。それは、世界を救った英雄の物語であると同時に、「生き続けること」を選ばされた一人の存在の物語だからだろう。本作は、ファンタジーの形を借りた、時間と責任と救済についての深い思索であり、読者に長く寄り添う一冊である。
著者初読。KU。
Posted by ブクログ
田舎に住む父子家庭の「僕」の家に、都会から電波系美少女が引っ越してきて、なんとドキドキの同居生活が始まってしまう……!と書いてしまえば定番の萌え系ライトノベルだが、この作品に分かりやすくきゃぴきゃぴした萌えはなかった。言われてみれば、最初からずっと表紙どおりではあるのだが。(そして私は、この本を完全に衝動で、表紙買いしたのだが……。)
本文は主に、閉塞的な田舎町の荒れた高校で虐められている「僕」こと栞の淡々とした一人称で綴られている。「都会から引っ越して来た電波系美少女」こと冥もまた、どこか達観した淡々とした語り口をほとんど崩さない。最初はその設定のせいで「定番の萌え系ライトノベル」だとナメて読み進めてしまい、そのおかげで、淡白な味付けで展開されるにしてはおどろおどろしい人間関係や、きっとどこかでどうせ似たようなことが発生しているのだろうなと諦めに似た感情で想像してしまう「大人の事情」、いわゆる因習村仕草に怯える羽目になった。「私たち」に優しくなかった「すべて」の人々にさようならする話、というタイトルのセンスも好き。
息苦しさや、若さ故の突飛さや、無謀さ、それでも運命を受け入れる様はカンザキイオリ楽曲作品を彷彿とさせられて、そういうの好きな人におすすめかもと思いました。
Posted by ブクログ
『“神”をも息を呑むような、渾身の復讐劇』
こんな突飛な復讐劇あったものか、とその発想に非常に驚かされる。
復讐には、下剋上のようなことをする方法や、社会的に正当(もしくはグレーな)方法、更には虐待や殺人など法に触れる方法など、種類は様々だ。
だが、本作はそれらのどれにも当てはまらない、奇想天外な手段で行われる。
本作は、阿加田町という町を舞台に繰り広げられる復讐劇。
いじめを受け不登校になった高校2年生の中川栞は、ある時、父親の親友の娘である佐藤冥と共に生活するようになる。
冥は高校1年生であるが、ある人物達への復讐を果たすべく、親元を離れ、阿加田町に住む中川家で生活するようになる。
本作を読んでまず驚くのは、冥の行動力だ。
復讐相手の行動やタイミングを考え抜くのは勿論、冥自身の身に危険が及びそうなことまでやって退けてしまう。
(恐らく、一番怒らせてはいけない女性ランキング上位に冥は入ってるのでは?と思うほどだ・・)
そして肝心の復讐は、言ってしまえば“冥にしか出来ないような”方法で行われる。
実際の手段は、物語における最も重要なキーワードになってしまうので、読んで確かめてみて欲しい。
また、本作における人間の仄暗い部分の描き方はピカイチだ。
いじめの加害者側の事細かな心情が如実に描かれていて、(良い意味で)何とも気分が悪くなる。
ただし、復讐のシーンは意外にもあっさりと描かれてしまっているので、少し物足りなさを個人的には感じた。(ただし、これは私がいつもドロドロとした作品を読み過ぎていることに影響している気もするが・・)
漫画化もされており、文章自体も難しい表現が少ないことから、初めて本作のようなジャンルを読む人も読み易いと思うので、ぜひ一度手に取り、この摩訶不思議な復讐を知ってみて欲しい。