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ビジネス・実用
Posted by ブクログ
書名からは金沢観光のガイドブックを連想したが、「歩く」はちょっとミスリーディング。『金沢をつくる ― 元市長が提案する21世紀型観光都市のまちづくり』のほうが適切かと。著者は金沢生まれの金沢育ち、金沢大を出て金沢市役所に就職し、市長にまで登りつめ5期20年つとめた筋金入りの金沢人。そのため思い入れもひと一倍あるのだろう、「金沢は◯◯でなければならない」といった物言いが目につくものの、旧町名の復活や暗渠の開渠整備事業など、まちづくり事例の話は面白かった。金沢の歴史もコンパクトにまとまっていてよかった。
■まとめ
Q1. 金沢ってどんなまち?
A1. 金沢は歴史と文化のまち。昔もあれば今もあって、まち全体が博物館。そして水と緑にも恵まれた、だれもが気軽に歩ける楽しいまち。歩いて、見て、ふれて学ぶまち。
Q2. 金沢が観光都市として栄えることになった歴史的な背景は?
A2. 金沢を治めた前田家の歴代君主たちが文化政策を重視したこと。また第二次大戦中に空襲に遭わずにすみ、古い町並みが残ったこと。
Q3. 道とは?
A3. 道は歴史の記憶装置。いつかは朽ちる建物とちがって、よほどのことがないかぎり道は残る。だから道はなんでも知っている生き字引。道を歩けばそこには歴史、自然、文化がつまっている。金沢はいろんな道や坂があるので、歩くのが好きな人ならきっと楽しめるはず。
■目次
はじめに
第1章 金沢のまちを歩く
1 金沢のまちなみ
2 金沢駅周辺から武蔵ヶ辻、近江町市場へ
3 金沢城趾から兼六園へ
4 兼六園周辺の美術館と博物館を巡る
5 広坂、香林坊界隈
6 浅野川、卯辰山、地元の小さな博物館
7 犀川沿いから寺町台へ
8 まちを体感して巡る
9 金沢の奥座敷
ちょっと寄り道
第2章 金沢の歴史を歩く
1 前田利家にはじまる加賀藩
2 前田家を支えた女性たち
3 幕末の加賀藩と卯辰山開拓
4 明治維新と市勢の衰退
5 御細工所と藩校を引き継ぐ
6 明治・大正期にみる金沢の先見性
7 金沢は歴史に責任を持つべきまち
8 旧町名の復活も
ちょっと寄り道
第3章 職人のまちを歩く
1 歴史に息づく手仕事
2 金沢箔、加賀友禅など多種多様な伝統工芸品
3 伝統工芸、クラフトの継承
4 菓子と料理も、ものづくり
5 農業と林業の人づくり
6 「からくり」にはじまった機械製造
7 金沢の文化、経済の根底にあるもの
ちょっと寄り道
第4章 人とまちの暮らしを歩く
1 福祉とともに
2 福祉と教育から地方自治を問う
3 生き続けている金沢の共同社会
4 用水の蓋を取りはずして
5 まちなかに凝縮させる
6 世界を視野に
7 平和と文化の相関
8 北陸新幹線がやってくる
ちょっと寄り道
あとがき
主要参考文献
索引
Posted by ブクログ
地域への愛情がすさまじい。
金沢城下の奥行 山出保著『金沢を歩く』.元金沢市長が、市政の基盤と都市計画の思想を提示.
冒頭の、金沢の規定がまず.圧倒する.
「金沢というまちの『顔』はなんでしょうか」.その「顔」を、以下に提示する.
「歴史と文化です」
「ヒューマンスケールのまち」
「水と緑の癒やしのマチ」
「プライドイメージを追い求める、こだわりのまち」
「もてなしの心とおもいやりのまち」「小さな世界都市」
矢継ぎ早に並ぶ.「まち」と表記するにも<意図>があるのかも知れない.
刊行のタイミングは、首都圏と北陸新幹線での結合を前に、記載された.
読後感はこれからながら、その「顔」の例示に、旧前田家城下、金沢の奥行で読者を圧倒している.
著者には、『金沢の気骨—文化でまちづくり』(北國新聞社 2013年)がある.
これまで日本建築学会文化賞(2000年)、日本都市計画学会石川賞(2005年)を、受賞している.(岩波新書 2014年)