警視庁公安部に籍を置く紀藤亮二は、冷酷で強引な捜査を行っていた。
そんな自分に反発する上司がいるのも理解の上。
それでも自分のやったことに対するおとしまえは自分自身で付けるし、部下に責任をなすりつけようとも思わない。
また、持って生まれた中世的な美貌を生かして、男と寝るのも常套手段だった。
...続きを読む とにもかくにも、自分の使えるものは全て使い、自分一人だけで捜査を行う。
そんな紀藤が大きな失態を犯した。
人身売買をしているという外国マフィアを追い詰める手段として、囮を使う捜査をしていたのだが、その囮に裏切られたのだ。
おかげで、マフィアは叩けず。それどころか、警戒されて手を出しにくい状況になってしまった。
その手段が問題となって紀藤が責められる事態に。
失敗したからには、何らかの処分をされるのが当然と思っていることはそのことに不満を抱いておらず、それどころか、「もっと自分を頼って欲しい」と言ってきた部下の嘉神を退け、自分自身で責任を取るべく、新たなカードを切る事にした。
それは政界のフィクサー、その力は裏社会へとも及んでいるという大物とのつながりを持つために、とある男と寝る事。
自分の目的を達成するためには、他の男と寝る事も厭わない紀藤はいつも通りことに及ぼうとしたが、そこにどういうわけだか嘉神が邪魔に入る。
実は、紀藤が寝る筈だった男と従兄弟同士だという嘉神はどういう訳だか、相手の男が去った後もその場に留まり続ける。
「帰れ」という紀藤に対し、嘉神はその場を離れようとしない。
それどころか、去っていた男の「代わりをする」と言い出した嘉神に対し、紀藤は「俺は自分の選んだ男としかしない」とすげなく言い返すと嘉神は紀藤を無理やり押し倒してきて……
という話でした。
そしてそこから紀藤の非番の二日間を使って、嘉神が紀藤を監禁するのだけれど。
その監禁の時の嘉神の狂いっぷりが素晴らしかったです。
監禁した時に、とても致死量の少ない媚薬を紀藤に入れて、尚かつ自分もそこに挿れる……「どっちが先に堕ちるか賭けましょうか?」なんて、はっきり言って正気の沙汰じゃない。
でも、そういうのがいい。
何ていうか、いっそそこまで狂ってしまうと、物語として清々しいですよね……。
結局、身体だけ堕としても紀藤には何も効果がないと知った嘉神が紀藤を解放して一旦は終了。
ただし、嘉神も嘉神で、そんなことで紀藤を変えられないのならば、そんな紀藤を「守りたい」と思って方向転換。
紀藤の代わりに刺されてしまう。
他にも、紀藤が動きやすいように嘉神はいろいろと根回しをしてくれていて、紀藤は、再度自分の無力さを痛感して、自分一人で動く事は変えられないけれど、時々は嘉神の力を借りようと少しだけ自分の持論を曲げる事にして、ハッピーエンド。
今まで頑なまでに変えようとしなかった紀藤が、少しだけ譲歩したのだからそれは紀藤にとって大きな事で、まだ決して「ラブラブ」とは言い難いけれど、確かに紀藤が嘉神の事を必要とした瞬間なので、嘉神は大感激してる……という。
何か、狗だなー……ってちょっと思ってしまいましたが、それもこれも、命がけの嘉神の行動がなければそうなりえなかったことなので、そういう意味ではすごいのかな?
相変わらずこの作者さんのちょっとイカレタ攻め様たちは私のツボを刺激してくれるので、個人的には大満足です。